【○○島】江戸時代から連綿と続く遊郭の島・伊勢志摩「渡鹿野島」上陸記(2008年)

<1ページ目を読む

禁断の島・渡鹿野島への上陸を果たしたものの、島内の村落が見事に廃墟だらけになっている様を見て呆然としていた我々。この島は廃墟の島に変わってしまったかのようだ。気を取り直し再び先へ進んだ。

村落の中ほどに神社の鳥居を見つける。「八重垣神社」と書かれている。ここは渡鹿野島の中心的な神社のようだ。

さほど広くない神社の境内、さしずめ島の総鎮守だろうか。須佐之男神(スサノオノミコト)を祭神とするこの神社、毎年7月23、24日には渡鹿野天王祭という祭りが行われる。渡鹿野島最大の祭りである。

海上では花火も上がり、この時ばかりは禁断の島のベールも剥がれ、島がにわかに活気付くようだ。しかし普段はこの通り至って寂しい風景である。

祭自体は毎年あるが、特に7年毎に「大祭」となり、島の対岸にある天王社から神輿が船に乗って運ばれるなど、祭りはさらに大掛かりなものとなる。

どうやら2007年が大祭だったそうで、次は2014年まで無い。残念無念。

八重垣神社を出て、再び村落を歩く。急坂で狭い道が続く中、やたらとアパートの建物が目立つ事に気が付く。人口300人程度のこんな小さな島なのに、アパートばかりが建つ様はどう見ても不自然。

実はこのアパートこそが渡鹿野島で春を売る女達の寝床なのだ。

渡鹿野島のシステムは、まず宿泊先の旅館で置屋を紹介してもらうなどして向かう。おそらく島の入口で客引きをしていたのも置屋のババアであろう。こういうところから女の子を紹介してもらうことになる。もしくは島中にあるスナックに足を運ぶと女の子がスタンバっているそうな。

ただしスナックもご覧の通り廃墟化しまくっている場所が目立つが…

島では協定料金が決められており、ショート2万円、泊まりは4万円程度だとか。

遊びたい子が決まったら、その子の住んでいるアパートまで直接出かけて、恋人同然のひと時を過ごす、といった具合だそうだ。まあ要するに「夜這い」みたいなもんだ。

だが島に住んでいる娼婦は殆どが東南アジア系外国人とのこと。

だが不況の波なのか過疎化が進行しているのか知らぬが、彼女らの住んでいるはずのアパートでさえ廃墟と化していた物件があちらこちらに置き去りにされているのだ。

さほど古そうな物件ではなさそうなアパートだが完全に廃墟となって人の手が入らなくなった途端の荒れ方というものが半端ではないことを見せ付けられる。

レジャー(性風俗)の多様化が敗因の一つだろうか?確かにこんな僻地の離島まで来てさらに4万も出すくらいなら飛田や吉原でやりたい放題できそうなもんだ。

さらにこのアパート、2階部分の一部廊下が崩壊してしまっている。無残だ。江戸時代から脈々と続く渡鹿野のピンク色の歴史は、今まさに潰えようとしているのか。

丘の上から、独特の形状を持つ的矢湾のリアス式海岸が形作る深い入り江が見える。その風景はただ美しく静かである。静かに過ごすだけなら決して悪い島ではないと思うが、観光客が避けて来ようとしないのは、やはり禁断の島たる宿命なのか。

渡鹿野島の中には相当な数の民宿やホテルが点在している。今更ながら言っておくが渡鹿野は島民の9割が第三次産業に従事する「観光の島」なのである。

この島がアレ目的ではない純粋なレジャーの島として活気付くのは、やはり夏休みのシーズンだそうだ。穏やかな的矢湾の内海を湛える島は売春島の悪評を黙らせる程、風光明媚である。

しかしこの島の寂れ方を見ると、将来が不安である。

的矢湾を眼前に控える「わたかの荘」。目の前の海には夕日が沈み雰囲気の良さそうな宿だ。もっとも普通の宿では観光客を惹き付ける力が弱いということもあり、この宿も「ペットも泊まれる宿」とプッシュしている。

かつての名を轟かせた渡鹿野島は、レジャー(性風俗)の多様化により順位を確実に落としてしまったようで、折りしもの不況もあり、売春島だけではもはや生計が成り立たない現状にある。見た目の変化は少ないが、島の民宿を中心に徐々に一般観光客を受け入れる準備も始めているようだ。

殺伐とした風景ばかり見せられて少し疲れていたが、ひょんなところに島民の生活を感じさせる物を見つけた。使われなくなったブイを加工して作られた狸やカエルやイカ。

それにピカチュウのような物体まで…

ともかく狭い島だけあって「火の用心」だけはかなり過敏になっている。

事前の情報収集だと渡鹿野島は閉鎖的で警戒心が強い島だと聞かされていたが実際はさほどそうでもない。

2007年には渡鹿野島の天王祭大祭をモチーフにドキュメンタリー映画「男たちの馬歌~悪魔祓いの島変~」が作られ上映されている。映画の上映会の告知が島内に貼られているのだ。

民宿からホテルまで色々と数多くある島だが、家族連れやカップルで来るのと男連れで来るのとでは女将の応対が違うということを聞いた。「今夜、遊ぶとこ決めてますか」などと聞かれるらしい。

しかし近年では島のイメージチェンジを図る為に宿をまるごと改装して作られた「はいふう」のような妙に小洒落たホテルも出来ており侮れない。何故かアジアンテイストを盛り込んでバリ島風の内装を取り入れているという。

いずれこの島が、リゾート(笑)スイーツ(笑)などとほざく若い女性に人気の島に生まれ変わるのかどうか、それはわからないが。

>3ページ目を読む


The following two tabs change content below.
新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
トップへ戻る
Copy Protected by Chetan's WP-Copyprotect.