真冬に行けば鬱度もアップ!福井県を代表する鬱観光名所「東尋坊」とレトロ展望台「東尋坊タワー」

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殆どの観光客はバスを降りると断崖絶壁目指して進んで寒さのあまりとっととバスに戻ってしまう訳だが、そんな人の流れとあんまり無関係そうな場所に「東尋坊タワー」という展望塔がさりげなく立っている。

東尋坊へ続く土産物横丁に入らず脇の上り坂を登っていくと、営業していない土産物屋の向こうに無骨な格好の展望塔が姿を現す。

東尋坊タワーの前は広い駐車場になっていて何台かの自家用車や観光バスが止まっている。それにしてもスタイリッシュさを微塵も感じさせる事のないダサダサな展望塔である。しょうがない、昭和39(1964)年生まれのオッサンだもん。

高さも55メートルと中途半端で、海面からの高さを合わせるとようやく100メートルになるといった具合。二層構造の展望ルームは姿形がそこだけ大阪通天閣のそれに似ている。

で、その足元が土産物屋にレストランになっているというベタな展開も、昭和の観光地といった趣きがそのまま残っていて素晴らしい。駐車場には沢山車が止まっている割には殆ど客の姿がないのが気になる。

さっきから全然ひと気のない場所だが、東尋坊タワーの隣には意味深な店構えの茶屋らしき店舗がある。「心に響くおろしもち」という名の店。実は東尋坊で自殺志願者を探し出して悩み相談に応じている地元のNPO法人が経営する店である。

だって電話番号がこれだもんな。81-7835(ハイ!悩み事)

「たった一つのいのち」と店の表に大書きされているのを見て、さすが東尋坊…と息を呑む訳だが、この店で出してるのは「つきたておろし餅(400円)」。

店の脇には店主やNPO法人による活動が紹介された新聞記事がこれでもかと貼りつけられていた。ドリャーおじさんならぬ「ちょっと待ておじさん」を自称する店主は元警察官で、現役当時から東尋坊を訪れる自殺志願者の救済にあたってきた。

東尋坊タワーの中に入る事にする。受付の暇そうな爺さんに展望塔への入場料500円を払ってエレベーターに乗って、高さ55メートルの展望ルームへ入ると…客は我々以外誰も居なかった。ただ日本海や眼下の三国町の街並みが、一瞬止んだ雪空の間から広々と見渡せる。

「東尋坊」の名前がついた東尋坊タワーではあるが、肝心の断崖絶壁はここからでは見る事が出来ない。不人気の理由がここにあったのだろうか。海からも結構離れているのは登ってみてから気づいた。

東尋坊から2キロくらい離れた場所に雄島という小さな島が浮かんでいる。東尋坊に近い為に色々とオカルトな噂が絶えない島で、東尋坊で身を投げた死体がこの島に辿り着いたり、島内を反時計回りに回ると死んでしまうと言われていたり、色々気味が悪い。

雄島と陸地を結ぶ朱塗りの雄島橋。渡ってみようと近くまで寄ってはみたがこの悪天候では無理があった。

昭和の行き遅れた観光地には必ず置かれている記念メダル販売機。やっぱり東尋坊タワーにはありました。

殺風景な展望ルーム内は場所柄だろうか東尋坊で身を投げて死んだ人々を弔うための仏壇が置かれていたのが印象的だった。

ここ東尋坊では1年間で保護される自殺志願者が約150人、さらに実際に死ぬのが30人近くいるとの事。

それもリストラされて行き場を無くした中年男性が多く、派遣切りで将来を失った30代の若い男性も増えてきたとか。どうも近年自殺者に圧倒的に多いのが男性のようだ。

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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