JR徳山駅前のアーケード商店街「銀南街」に隣接して狭い路地に商店が密集する「銀座中央街」という商店街もある。銀座でしかも中央街、ここが徳山の街の中心の中の中心と言わんばかりの名前だが、戦後の闇市が起源の「徳山マーケット」が前身となる歴史ある商店街なのだ。
徳山の銀座中央街は飲食店の類も多く、闇市上がりの戦後のドサクサ物件ならではの陰気臭さを微塵も感じさせない明るい商店街となっております。昭和27(1952)年に出来た商店街だが、一度リニューアルしているらしい。
ちらほらシャッターを降ろしたままの店もあるにはあるが、照明が明るいだけでも雰囲気がだいぶ違って見える。街の郊外化が進む中、中心市街地の商店街としては最後の砦みたいな意味もあるので、必死だろう。
廃業した店先の通路に備えられた買い物客向けの休憩所、そこには猫さんまでおられます。
まあやっぱり潰れた店も多いんですが、よく見りゃパチンコ屋の跡でした。大丸と言えば百貨店だが徳山の人にとってはこのパチンコ屋だったようだ。戦後のドサクサの名残りだったらパチンコ屋の一軒くらいあっても不自然ない。
店のシャッターにおもむろに貼り付けられている周南市の観光ポスター。「周南市川崎のおっぱい観音」って何だ。気になってしまったではないか。
レトロ風味な中央街だが食堂が何軒か営業している。どの店も大衆食堂然としていて気になる佇まいなのだが、銀南街の外にあるカレー屋で既に食ってしまった後だったので、今回は外から眺めるだけである。
「お食事処加寿之屋」店先のショーケース。チャンポンに焼きそばに焼き飯、肉丼にホルモン焼き。肉と脂と麺、三拍子揃った労働者好みの見事なラインナップ。これ見よがしなビール瓶も良いアクセントである。
中央街の入口付近にも「生ホルモン」の看板を掲げる肉屋まつきの店舗がある。さっきからスタミナ度数が高いのはやはり徳山が工業都市であるがゆえの事であろうか。徳山で焼肉と聞くと大阪のコリアタウン生野区の徳山物産を思い起こさせる。在日に多い苗字ですわね徳山って。
そんな肉屋の系列と思われる「まつき食堂」も中央街の外に出た所に店がある。ここも大衆食堂のメニューに加えてホルモンと焼肉がある。「60年間変わらぬ味を提供しています」と表に書かれている。老舗でんな。
狭い路地に戦後の時代から商売を続けている個人商店が密集していて独特の風景を見せている中央街。スーパーマーケット丸和に近い側は老人を中心に買い物客の姿が多い。
徳山の中心商店街も空洞化が酷いようだが中央街に関してはまだまだ現役バリバリである。
ババ服と造花の薔薇が飾られた古臭いショーケースに「ショツピングは中央街」とある。ツが大きい「ツ」になっている点に注目(笑)
中央街の中にスーパーマーケット丸和への連絡口もある。「銀南街です 地・下・で・す MARUWAです」と妙にくどさを感じさせる看板。
中央街周辺のビルや看板などを見ても街の古さを実感出来よう。徳山は空襲で一度壊滅状態になっているのでこれらの建物も戦後に出来たものだが、それでも年季を感じさせる。レトロ好きにはたまらない商店街だ。