沖縄市・嘉手納弾薬庫地区にある謎の無法地帯フリーマーケット「ベトナム通り」 

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沖縄県 沖縄市

この道路は本来は米軍用地で、それが遊休地となっているため十数年前くらいに沖縄市が米軍と共同で市道を整備した事に始まる。市道でありながら米軍用地であるという曖昧な土地関係に業者が目をつけて、自然発生的に現れたのがこのフリーマーケットだ。

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以後この土地は沖縄市を中心に沢山の市民や販売業者が訪れる場所となった。当然市道を整備した行政側の言い分は「不法占拠」に当たるようだが、現在に至るまで黙認状態が続いている。

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市道の脇にはこのような看板も置かれている。

「この土地は沖縄市が米軍と調整の上、市民のための道路として設置し、管理しています。同道路へ小屋等を設置し、使用すること並びにごみを不法投棄することは違法です。直ちに小屋・ごみ等を撤去してください。 沖縄市役所 沖縄警察署」

さしずめフリマの出店者からすれば市民のための道路ならフリマにしてもいいのさぁ、といった所だろうか。さすがに道路上に小屋が置かれたりはしていないが、道路から外れた草むらには沢山小屋が並んでいる。

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実際のところ街外れだし、せいぜい市道の奥には沖縄葬祭場や霊園、養鶏団地などがある反面、定住者がいる集落もなく生活道路としての機能は殆どない。市道が不法占拠されている事に対して表立ったトラブルは発生していないようだ。

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それどころか現実にはこのフリーマーケットで本格的に生計を立てている人がいるという始末だ。

日本全国不況の嵐で派遣切りがどうたら言うのはいつもホットな話題だが、沖縄の雇用状況はそれに輪をかけて酷い。リストラに遭った働き盛りの人間が常連出店者になり、一家を支える為にフリマの収入に依存しているのも珍しくないそうだ。

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あまりに生活感の溢れすぎなフリーマーケットの売り物の数々を見ながら、そんな沖縄人の経済事情を考えると、沖縄での生活もそうそう楽じゃないのだなあとしみじみ考えさせられる。

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夜逃げの在庫処分セールとすら思えるくらい軽トラの荷台の上やら基地のフェンスに掛けられた夥しい衣服の数々。ちなみに毎週店を出してもせいぜい月4~5万円程度の儲けにしかならないそうだ。

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不況に加えて核家族化が進んでいく中で経済的に頼れるものがなくなっているのは沖縄でも本土でも同じ傾向だが、生活品を売り捌くためにタダで出店できるベトナム通り、もとい白川フリーマーケットの存在は沖縄人にとって最後の「ゆいまーる」の安全網なのかも知れない。

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売れるモノは何でも売るのは鉄則だが、出店者の多くは「生活が掛かっている」という事を前提に見ると、売り手の必死ぶりを感じてしまう。売り物を陳列しているこの軽トラも売り物ですよ。12万円で販売中。

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ヘルメットやら履き古した靴やらに混じって、なぜか自転車のサドルだけが大量に置かれている謎の露店。

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衣類とかは分からなくもないがコカコーラや牛乳の空き瓶なんぞは誰が買っていくのだろうか…

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こちらは鮮やかな色合いが目に眩しい琉球民族衣装でございます。沖縄土産に一着買っていこうかと思ったが大人用のサイズがなかった。

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その手前には日本人形やら甲冑やら模造刀やらがびっしり置かれておりました。こういうのって米軍基地のスーベニアショップにもよく置いてある記憶が。

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そして沖縄らしい三線の部品や補修道具の数々も売られていた。何でもあり過ぎて凄い。

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誰が買っていくのだろうか甚だ理解不能なのだが、三線を売る露店は2ヶ所見かけられた。それどころか売り手のオッサンが弾いていたりして、東南アジア風味の路上占拠フリーマーケットにはベタな沖縄民謡の音色が響き渡るのだ。

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そんなベトナム通りのフリーマーケットの存続を揺るがす大事件が2003年9月にあった。ミリタリーグッズの常連出店者だった航空自衛隊那覇基地所属の空曹長がこともあろうに自分の倉庫で不発弾を破裂させて爆死するという笑えない事件(→詳細1詳細2)が起きたのだ。

これによって行政側が「危ない爆弾を売るようなフリマは壊滅させる」と言わんばかりに露店の撤去に向けて動き出し、露店に警告書を貼って回ったそうだ。

しかし出店者達の猛烈な反対に遭って、フリマの撤去計画は白紙に戻される。一時期は空洞化したコザの銀天街などに移転する案もあったそうだが、タダで出店できる白川フリーマーケットでなければ商売が成り立たない人も実際に多いのだ。

以後、現在に至るまで撤去されておらずフリーマーケットは健在なり。

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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