戦争を経験した世代の館長が築き上げた孤高の軍事コレクション「那須戦争博物館」

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相変わらず館内も戦闘機のプロペラやらが色々展示されまくっている上にご丁寧な手書きの説明文が添えられている。さすがに千円払って入館する人もあまり居ないらしく我々以外に見学者の姿はない。そのぶんじっくり見て回れる訳だが、ちょっと物悲しくもある。

恐らく館長が最もインスパイアされたと思われる栗林中将の御尊顔が飾られた額縁、その周りには軍刀やら旭日旗やらが展示されている。もしかして栗林館長の名前も中将から取ったニックネームだろうか。

自ら「平成の乃木将軍」と名乗るセンスが素晴らしい栗林館長のお姿、東京赤坂の乃木神社にて。コスプレ好きの爺さんとして東京のごく一部ではかなり有名な存在である。

戦時中に兵隊が身に着けていた軍服の数々。それぞれダンディなマネキンがカッコよくキメて突っ立っている。一緒に記念撮影してくれと言わんばかりだ。

ガスマスクやらに混じってヤバげな毒ガスの名前が記された容器が乱雑にガラスケースの中に積まれている。あまつさえ埃をかぶったまま放置されていて、ちょっと展示品の扱い方がぞんざいな印象を受ける。

さらに戦時中大人気だった田河水泡氏の「のらくろ」も。ある時期には小さな子供までも軍事ムード一色に染め上げていたのだ。もちろん抜かりなく本人のサイン付き。

とにかくどんなものでもコレクションしているようだが時折こうしたヤバイ写真も混じっていたりするのでギョッとする。あまり詳しく言いたくないけど江戸時代の処刑方法が戦時中にも行われていたわけですね。

とある男の出征を祝う日章旗の寄せ書きなども。ベニヤ板にピンで留めるだけで裸で展示していたりするので相当傷んでいるが、手に触れられる位置に展示してあるのがかえって生々しい。

さらに別棟の海軍館も。以前は「士農工商館」という名前だったらしい。なんとも凄いネーミングだ。いきなり万国旗とかが釣り下げられていて異様な雰囲気だ。

そこには膨大な数の軍艦模型コレクションが陳列されている。圧巻。いっぱいありすぎて何が何だか分からない。

さらには戦艦大和の模型までもがどっぷり埃を被ったまま展示されていた。

そして戦艦大和の船首の先には…グアム島のジャングルの中の洞窟で発見された横井庄一氏の姿がありました。

戦時中にグアムに派遣されてから終戦後27年間ジャングルで孤独のサバイバル生活を続けていた男である。「恥ずかしながら帰って参りました」の台詞と「よっこいしょういち」のギャグは当時の流行語となった。やけにリアルに再現された蝋人形が他のどの展示物よりも真に迫るものを感じた。

ちなみに横井氏の地元である名古屋市にも横井庄一記念館という施設が存在している。

あとは栗林館長の軍事ビデオコレクションがあるなど膨大な資料が残っている。全部VHSテープなのが時代を感じさせます。誰かデジタルアーカイブ化してやれよ…

他にも戦争とはどう見ても無関係そうな昔の家電製品の展示などもあって、レトロコレクションゾーンと化している一画もある。

力道山がカラテチョップとか言ってた頃のテレビですねこれ。昭和20年代の一台25万円って今で言うと凄い価格だぞ。テレビは戦後の日本国民に希望を与えたが、今では白痴電波を垂れ流す害毒でしかない。

あとは別棟にもガラクタなのかコレクションなのかよく分からないものが沢山紛れている。これ以上は見学ゾーンでもなさそうなので、大人しく戻る事に。そもそも展示物も膨大過ぎるので一度に全て見て回るのは不可能だ。

最後は栗林館長のオフィスルームにもなっている図書室へ。ここにも大量に書籍が並べられている。

やはりマニアック過ぎる本棚。天皇や靖国関係の本、その下の段には士農工商の下の身分の、日本独特の人権問題に関わる辞典のような書籍類があれこれと…誰から買ったのかよくわかりませんがね。


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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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