駐車場から屋内へ続くゲートが入場口。横の受付で館長夫人から入場料千円を支払い、展示ゾーンに入る事にしよう。ゲートには大日本帝国陸海軍資料一万点展示とある。そして相変わらず旧字体を交えて書かれた手書き看板の数々がリアリティを引き立てている。
戦後長らく平和ボケが続くと入場料が高いとぼやく人種も現れるようで玄関口にはこんな注意書きが。
「入場料千円は高いと申します お客様に千円は高いか安いかは御覧に成ってから言って下さい 未だ見もせず高いと言う事は失礼な事です 当館は日本唯一」
黄金の巨大神像の千円よりははるかに安いと思うぜ!
それ以上に入場券代わりに渡されるこの分厚いパンフレットが濃密過ぎて…これで千円が高いという奴らはどんなドケチなのか理解不能。ひたすら館長の思い入れが充ち満ちている。
ゲートを潜った先にも、明治時代最大で日露戦争に使われたという大砲がデーンと置かれている。明治時代にしては妙に綺麗な感じがするが、中にはレプリカも混じっているとのこと。
展示ゾーンは二手に別れており、右側の本館をまず見学の上、左側の海軍館に行くのが順路となっている模様。ひとまず案内に従っておく。
菊の御紋が入った鉄の物体、これは何だったか説明書きを読むのを忘れた。あまりにこうした物が多く並べられているので一つ一つ鑑賞すると時間が相当掛かる。それにあくまで個人のコレクションなので、その辺は考慮して見ないとあらぬ誤解を招く恐れもある。
またしても左手に戦車の姿が。案内看板によると満州事変当時の九二式中型戦車とのこと。当方ミリオタではないので戦車やゼロ戦関係の細かいツッコミは無しにしておく。
生々しくコックピット部分の造形が残るゼロ戦のボディもそのまま屋外展示。遊就館や大和ミュージアムといった「ちゃんとした」所と比べるとあまりにワイルド過ぎるのである意味驚くのだが…
さらにB29のエンジンなんかもそのへんに置かれていたりしてカオスだ。個人プレイ炸裂なので保存状態は決して褒められたものではない。館主が居なくなったらどうすんだろうなこれ。
こっちはB29の燃料タンクとのこと。展示物がかなり苔むして汚くなってしまっている。
駐車場から池を跨いで見えたのがこの戦闘機。
これだけのものを個人で集める執念も大したものだが、なぜ那須のこの場所に博物館があるのかは不明。館長はシベリア抑留後に日本に戻ってきた当初は神戸で飲食店を経営していたらしいが、1977年に那須に移住したとのこと。コレクションはその時期から始まったのだろうか。
そして博物館本館へと入っていく。びっしりと展示物が並んでいる訳だが、建物自体も古くなってしまい所々展示物に蜘蛛の巣が張っていたりして微妙な雰囲気が漂う。これを見て、全然ジャンルは違うけど淡路島ナゾのパラダイスの中と似たような空気を感じた。一人の老いた男の情熱の結晶、という点では全く共通していると思われるが。