【那覇市】泊ふ頭前「前島三丁目」の盛り場と安宿街(2011年)

那覇港の泊埠頭ターミナルに隣接する前島三丁目は離島への旅行者向けなホテルがずらりと建ち並ぶちょっとしたホテル街になっている。

バスやタクシー、それにレンタカーがひっきりなしに往来する忙しない裏通り。いかにもな観光ホテルだらけだが、そこから一歩中に入ると、ちょっと胡散臭い街並みが広がっている。

前島もまた栄町や神里原と同じようにピンクタウンの一つとして知られている土地らしく、那覇市内はもとより離島から那覇に遊びに来る男どもを相手とする風俗店が建ち並ぶ街だというが、ひたすら寂れた印象しかない。

基本的に他の社交街のようにスナックと居酒屋が多いのが前島の特徴だが、すこぶる寂れまくりな印象でどこを見ても残念な感じが否めない。

しかもどの店も場末も場末、絶滅危惧種のような佇まいを残しており、昭和枯れすすきな旅情を感じさせてくれる。そもそもこの辺のスナック自体営業しているのか?

だが住宅街の碁盤の目を行ったり来たりすると、ここもかなりの数のスナックが乱立している事に気づく。酒場率の異常な高さは産業の乏しく酒呑みの多い沖縄だけの特徴。

スナックに隣接した古いアパートの玄関口もどこか外国チックでアジアンカオス。

前島の特徴は場末のスナック街だけではない。酷くオンボロ具合の激しい素泊り宿が密集していたりもする。何十年前のものか分からないペプシのマークのある古い看板には「素泊り 宿泊料個室 1500円」とあり得ない激安価格が提示されていた。

しかしこのボロボロの外観に加えて建物上部の錆だらけの外階段も果てしなく場末感を盛り立ててくれる。この宿もそもそも営業してるのか疑わしい。

さらにもう一軒安宿を見つけた。さっきのビルは廃墟みたいだがこっちの民宿は全然イケそうな感じ。1泊1500円とこちらもやたら激安価格を謳っている。

どうやら部屋をグレードアップすると「1泊食事が2食付で2000円、しかも個室です」との事。西成のドヤより全然安い。さすが沖縄価格である。

昔は繁華街だったのかも知れない感じだが、人通りもまばらだし、時折置き去りにされたような商店がぽつぽつ並ぶ程度だ。前島は風俗街としてのイメージが強い。ピンサロや場合によっては違法な本サロもこっそり営業していると聞いた。

なのでどれだけ不健全でヤバイんだろうと期待大きめで訪れたのだがあまりの寂れっぷりにややテンション落とし気味だった訳だ。端っこの方は普通にマンション街だし、ツッコミ甲斐があるのかないのかよく分からない。

前島はピンサロ街だと聞いていたが確かに路地を歩いてみると…あったぞそれらしき店が(笑)真隣にはいかにもここで精力付けていくさー的な山羊料理屋まであって、ガチな光景である。

どうやらビルの2階がピンサロ店舗となっているようである。那覇のくせに「ホンコン」だし、どこかセンスも昭和50年代辺りののダサダサ感が残っていていい感じだ。1階は案内所兼ビリヤード&ダーツ場の模様。

そんな前島だが、やはり辻界隈の街並みを見た後ではインパクトが落ちるのも無理はない。そもそも寂れ方が凄いし、くたびれたコンクリート建築の酒場がやけに目立つ。

しかしコンスタントに怪しい店が見られるので程々に面白い。キューティーハニー。これもすこぶる昭和臭い。玄関口には水着姿の姉ちゃんがジョッキ片手に微笑む「オリオンドラフトビール」のポスター。すっごく沖縄っぽいね!

それで相変わらず路地の各所にはスナックやら居酒屋がアホみたいに乱立しているのだ。これだけ供給過剰なら客の奪い合いにならないもんだろうかと傍目に見て不安にも思えるのだが…

かなりオンボロ気味なコンクリート建築のスナック。この時間帯はどうという事もないが、夜が遅くなりだすと路地には客引きの立ちんぼババアが姿を現すらしい。違法営業の本サロがぼちぼち商売を始めるとか何とか。

スナックとピンサロが入り混じる前島の路地。昼間は他の社交街と同じように人通りも少なく寂れた感じが強い。それよりも向かいのバックパッカー向け民宿の前でタバコふかしながらたむろっている方々の客層が何とも香ばしい感じだ。

場末の盛り場らしいラーメン屋が一軒。沖縄そば屋だらけの那覇でラーメン屋を探すのは四国の高松でうどん屋以外の麺類の店を探す次くらいに難しい。

昼間から営業しているスナックもぽつぽつあって、たまにいかにも水商売な感じのきわどい服を着たお姉さんを見かける。一方で手前のビルは完全に廃墟化していた。

また別の路地に入り込むと、こっちにはPLAYBOYな感じのブラックなうさぎさんもいたよ。

その奥にはレモンハウスにピンクハウスと来たもんだ。端から端まで見渡すと結構な数のアレな店を見かける。最初の見た目では寂れ過ぎてダメダメかと思いきやそうでもないようだ。

前島の外れ辺りにももう一軒、えらくゴツイ外観の質屋の建物の一角にそれっぽい佇まいの店が入居している。サロン美少女。女性のイラストがまた露骨な感じですね。

見た感じ現役にはとても見えない感じの店舗。錆び錆びになったシャッターは「只今ホステス大募集中です」と一面求人広告だ。1.有給休暇、2.皆勤手当、3.ボーナス制度、4.海外旅行。寮・託児等即日可能、月に2回の給与システム。至れり尽くせりの高待遇を謳っている。

その先は前島と松山の若松問屋街との境を流れる潮渡川。若松橋という橋が架かっているのだが、老朽化で危険だという理由で通行止めにされてしまっている。普通なら架け替え工事をやる前に仮橋でも作ってそうなもんだが、そんな余裕もなかったのか。

スナック居酒屋密集地に紛れてピンサロやら本サロがこっそり営業する中に安宿街が形成された街並みを一通り見てきた。前島の界隈は殆どがコンクリート建てのマンションタイプな建物が多いが築年数が古そうなものばかりだ。

泊埠頭ターミナルから久米島行きのフェリーに乗るまでの僅かな時間に昼間のしょぼくれた街並みを回っただけで外観だけさらっと見るに留まったのは惜しい。これが夜になるとかなりの確率で立ちんぼババアがいるらしい。

そんな前島のスナック街だが街角の至る所に曰く有りげな注意書きが書かれているのが目に付くはずだ。これは栄町や神里原の社交街にも見られたものと共通している。

コンクリート壁に直接吹き付けられた警察屋さんによる「環境浄化指定地域」の御触れ書き。「暴力をなくして明るい街づくり」「泣きね入りしないさせない一一〇番」「少年の夜あそび非行のもと」

そしてここにも那覇警察署による客引き禁止の注意書き看板が…ただし植え込みに隠れて頭半分しか見えていない。

さらに別の場所にも警察署による客引き禁止看板。「欲出せば、社会の信頼総べて失う、無理な客引き自粛してお客本位で正常経営」…なんだか警察にここまで言われちゃうなんて肩身狭いっすねこの業界も。

そもそも店の前にこうやって椅子を並べて置いてる時点で客引きやってるのバレバレだったりする訳ですが警察もテーゲーなみたいでお咎めないようです。

つまりこれだけの物証があるという事は、夜中になればこの前島の界隈も栄町や神里原みたいな事になるのは容易に想像がつく。昼間は大人しいものだが。

場末感のひときわ激しい、朱塗りのコンクリート壁が映えるスナックビル。看板もたいがいレトロですね。「ポプラ」に「なぎさ」、それに「ハッピー」。道路側に窓が一切ないという建物の構造もどこか意味深な印象を与える。やはりその佇まいは私娼窟のそれを思い起こさせる。

そして前島三丁目の極めつけがこの薄汚れて黒ずんだコンクリート壁に覆われた気味の悪い3階建ての風俗ビルだ。3階以外にはろくに窓一つないというのも怪しすぎる。屋上には西洋の城郭を思わせる切り込みのデザイン。ここは廃墟の城か?

そんなビルの脇には店舗の入口があった。レトロな字体の看板に「サロンチェリー」…明らかにピンサロか何かの店だと思われるが、とても現役とは思えない荒れ方を見せている。

建物の脇にもやはり「客引き禁止」を告げる警察の看板が…この様子だと前島の夜はいかほどのものだろう。今回見れなかったので残念だが、栄町や神里原と肩を並べる社交街なので、是非沖縄旅行の際には立ち寄って頂きたい。


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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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