昭和の時代にブームを巻き起こした高原リゾートの厳しい現実だヨ!山梨県北杜市「清里」のファンシーな廃墟を見てネ

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山梨県北杜市 清里

そして、廃墟と化した「高原の原宿」最大のハイライトはこれ。同じく廃業したまま放置プレイをかまされているかつてのブームの中心地であった「清里ひろば・ワンハッピープラザ」である。ここもおみやげ店やファンシーショップ、フードコートなどが一緒くたになったショッピングモール風の施設になっているのだが、施設の全てが閉鎖中。

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店の中を隠すかのようにガラス窓一面に積み置かれた「特選八ヶ岳高原牛乳」のボトルが逆に不気味さを誘う。ワンハッピープラザという名前とは裏腹のアンハッピー具合である。

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ワンハッピープラザの中心にそびえるランドマークだった「アゼリアの塔」という名称の時計台である。やはりデザインのセンスを見ると「リアルペンギン村」と呼んでも差し支え無い、四半世紀以上前の香りが漂う。傍目には廃墟にしか思えないのだが、時計台の時計の針は正しい時間を示していた。まだ動いているのだ…

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実は2013年にワンハッピープラザが長野県の業者に買い取られ、新たにカフェやギャラリーを中心とした商業施設に再生させる計画がある事を地元の山梨日日新聞が報じている。報道によれば今頃出来ていてもおかしくはない時期なのだが、どうにもなっていない現状を見ると、計画は実現出来なかったのだろうかね。

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併設するカフェやインフォメーションセンターもことごとく閉鎖中。様子を見るとここ10年以内で閉鎖されてしまった感じがするのだが、立つ鳥跡を濁しまくりといった感じでどこもかしこも放置プレイなのにはあんぐり。

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頭と胴体のバランスが悪すぎるファンシーな熊のキャラクターに加えて「清里時計台」のファンシーなフォントが80年代マニアの心を容赦なく揺さぶりかけてくる。昭和末期のノスタルジーに浸れるにはこれ以上の場所はない。

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そしてここにもお約束の如く登場するファンシーな牛さんのキャラクター!これは正統派ファンシーキャラである。「うちのタマ知りませんか?」のタマがそのまま牛に変わっただけのノリ。無駄にローマ字で「MOO I~KAI?」と言わせている辺りが素晴らしい。

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さらに別バージョンの牛さんキャラは英語の文章も微妙におかしいところまでもが80年代テイスト。「WELL COME MILKY LAND」である。

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ワンハッピープラザ内の通路が途中で封鎖されているので、反対側の道路から再度アプローチを試みる。こちら側も負けず劣らずの行き遅れたメルヘン感が脱力を誘う。3階建ての元店舗は先程の写真のちょうど裏手にあたる。ぱっと見分かりづらいが、階段付近のレンガがボロボロ落ちていたり、積雪の影響か鉄骨の一部が錆びて無くなっていたりして、構造的に見ると地味にヤバイ。

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特に「KIYOSATO」と記された巨大なキノコのオブジェは、昭和60(1985)年に初めてファミコンソフトとして発売された「スーパーマリオブラザーズ」を彷彿とさせるあのキノコ。ここもやっぱりミルクポット同様記念撮影スポットになっていたんでしょうかね。

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そしてキノコの上に載っている人面カタツムリが何気に怖い。まだディズニーランドが日本上陸したばかりの頃にこの清里が栄えていた事を考えると、奈良や横浜にあったドリームランドにも似たパチモン臭がこれらのキャラから感じられるのも気のせいばかりではない気がしてきた。

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キノコ、人面カタツムリ、そして人面樹という「メルヘンなら何でもあり」なキャラクターの統一感の無さも良い。とにかくメルヘンであればお金がガッポガッポ稼ぎまくれるバブルな時代が確かに清里にはあり、この土地を「清里ブーム」という経済現象が駆け巡ったのだ。さしずめスーパーマリオブラザーズで当時の商売人の状況を説明すると「ノコノコで無限1up」みたいなものである。

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そんなバブルの爪痕はこちら側にもしっかり残っている。とっくにゲームオーバーを迎えてしまったファンシーなバブルの夢の跡は、長年解体すらされず放置が続けられていた。

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どうやらここはフードコートやグッズ店が立ち並んでいた一角だった模様。チュロスだのピザだの屋台料理の数々をここで買って家族それぞれ思い思いに食っていたのだろうが、床のウッドデッキも一部破損して抜け落ちているのが痛々しい。

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足場が崩壊して立ち入る事も憚られるので遠目に見ているが、古臭い赤い電話ボックスが気になる件。携帯電話が無かった時代の必需品…昔ここで子供を連れて遊びに来ていたであろう一家も、今では子供が40歳そこそこに成長していたりするんでしょうな。1970年代から2000年代まで、様々な想い出の源になったに違いない場所。役目を終えた今も無くなりもせず、ただ遺跡のように佇んでいる。

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そして「80年代の子供の部屋に必ず貼ってあった類のファンシーなキャラクターのステッカー」を見かけて再び激しくデジャヴに見舞われるのであった。ファンシー牛さん一家「清里モーモーファミリー」…このステッカーの持ち主も現在は例外なく中年だ。

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さて、貴方だけの「ワンハッピー」は見つかりましたでしょうか。清里に想い出深い方には衝撃的な光景が続きましたが、メディアが仕掛けたブームが過ぎ去った後の観光地の現実はどの土地にあっても非情なのである。名前すら忘れ去られたようなファンシーな熊のキャラクターも次にお目にかかれる時が来るのだろうか。

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再度誤解の無いように申し上げるが、清里で寂れているのは「駅前の商店街」だけで、昔からある清泉寮とか、老舗のレストランバー「ROCK」がある萌木の村とかは至って健全な観光地として営業中ですので、清里全体ダメになっている訳ではないのをご理解頂きたい。それは分かっているんだけど、駅前の廃業ジェラート屋「紅や本舗清里」の前にいる牛さんがぶっ倒れたままになっているの、誰か起こしてやってよ…


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