石炭積出港だった北九州「若松」の寂れた街並み、連歌町遊郭跡と赤線跡を求めて

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明治町銀天街と大正町商店街

北九州市若松の商店街はエスト本町の他「明治町銀天街」というアーケード街が南北に伸びている。人通りもまばらだがもうすぐお昼なのでそれなりに店も開いているかも知れない。若戸大橋の真下にある明治町銀天街のアーケード入口。やはりここにも「銀天街」と名のつく商店街がありましたか。明るい顔、元気な街、そのフレーズとは裏腹に明るさも元気もなさげな街並み。

あまつさえ商店街の入口にはこのような看板が。「遺言 相続 成年後見 無料相談会実施中」…そりゃ高齢化も激しいだろうが若松住民の皆様はもう既にあの世の事を考えていらっしゃるのでしょうか。厭世観すら漂ってきそうで侘しい限りです。晩年は明るく元気な人生で締めくくりたいものです。

商店街の中に入ってみると…言わずもがなシャッター通りと化していたのであった。うーーーん微妙。1891年の筑豊興業鉄道開通以来繁栄を極めてきた若松の街を代表する商店街の現在は厳しい。ちなみに明治町銀天街の明治町というのは昔の地名らしい。

エスト本町と明治町銀天街の2つのアーケード商店街は逆T字状に接続されている。あんまりネタになりそうな店もないし心なしか腹も減った。遺言や相続の相談よりも先に昼飯が食える場所が欲しい。

寂しい商店街で辛うじてネタになりそうな物件、明治町銀天街の中程にあるミニシアター「若松かっぱ座」。2010年に商店街の空き店舗を活用して作られたもので毎月第三水曜日(泣)に地元民向けの映画を上映しているとか。

その昔、若松の街には16軒もの映画館があったというが1994年に最後の一軒である若松東宝が閉鎖、街から映画館が全滅してしまっていた。昭和の時代にかなり色々な映画のロケ地にもなった(→詳細)若松だが今となっては随分寂しい状況になっている。月一回上映の映画館って…それでも無いよりはいいか。

中心産業が衰退して寂れるしかない地方の町おこし、地元民や商店主もさぞかし頭を痛めている事だろう。日本中右に倣えで増殖中のゆるキャラ・アニメ・B級グルメ頼みで町おこし…といった安直な手にはあまり積極的ではないのか、若松の商店街でそれっぽいものは見当たりませんでした。

小腹は減ったしシャッター街ばかり歩いていても嫌になってしまいそうなので今度は明治町銀天街を外れた北側の一画に出る。ここもまだまだ商店街に市場が続いておりますよ。大正町商店街とゑびす市場である。かなり年季の入った風貌。

大正町商店街は先程までの寂れたアーケード街とは打って変わって完全に生鮮市場といった印象。若松の台所と呼ぶべき場所か。運悪く定休日である日曜日に来てしまったせいで店が全然開いてません。

商店街のシャッターに貼り付けられた「若戸大橋開通50周年」ポスターを見てあの橋がそんなに昔からあったのかと軽く驚いた。隣には「葦平のこよなく愛した市場街」と書かれたポスター。葦平というのは地元出身である昭和の作家・火野葦平の事。没後50年ちょいなので、若戸大橋の誕生と殆ど入れ替わりという事になる。

大正町商店街の奥に進むとさらに丸仁市場というのがあったがこちらも日曜休みでどこを見回してもシャッターが降りていた。有名な「丸窓」のてんぷらでも食ってやろうと思ったのにこれではどうにもならぬ。

しかし北九州市という土地は門司港から若松まで色んな街があるけどどこを見ても市場だらけの街だと感心する。仕方なく目の前の自販機前で休憩。

アーケードを出た所にある「共栄市場」なる古い市場の入口にあった「三和」という肉屋が日曜でも辛うじて開いていたのでそこで買った鶏の唐揚げを食って飢えを凌いだ。空きっ腹にはかなり旨い。若松では有名な店らしく地元民にとって「唐揚げ」というのはここの唐揚げの事を意味する程らしい。あまりに腹が減っていて貪り食ったので写真がありません。

そんな共栄市場の中に入ると奥の方にある魚屋が本日の店じまいを済ませていた所だった。市場とか商店街は日曜日に来るもんじゃないです。皆様もお気をつけて。

実はこの市場がある辺りが「連歌町」という地名で呼ばれていた一帯で石炭積出港として栄えた若松における夜の街だった。現在の大黒市場が建っているあたりが連歌町通りといいそこには遊郭があったが今では跡形もなくなっている。

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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