伊豆シャボテン公園では「サボテン料理」が食えるということで、ちょうど腹も減った事だし何か食ってみようと言う事になった。ギボン亭という変な名前のレストランは室内が無駄に広い割には客は我々しか居なかった。地方の微妙なテーマパークにありがちな展開である。
ここで出しているサボテン料理のうちの一つ、サボテングリーンカレー。細切りにされたサボテンの切り身が載っている。名古屋の重食喫茶「マウンテン」の自家栽培ウチワサボテンは皮が分厚くて青臭いが、この店のはそうでもない。歯ごたえも味も良く分からないままに完食。
もう一つのサボテンハンバーグにも、生地の中にサボテンの身が刷り込まれている訳だが、いまひとつサボテン感がしない。まあ、地方の微妙なテーマパークの食堂だもの。高望みはしない。
ちなみにメキシコあたりでは普通に野菜として食用のウチワサボテン(ノパール)が流通していて、当たり前のように食っている(→詳細)
ウルトラマンの特撮ロケで度々使われてきたという園内には「高原竜ヒドラ」の姿が。っていうか、温室の入口がヒドラなのね。ここから温室に入ってみよう。
伊豆シャボテン公園の中には5つの温室があり、世界のサボテンおよびアロエなどの多肉植物が栽培されている。動物園でチンパンジーを見るのもいいが、もともとはこっちがメインだ。温室の中に入って一番目につくのはあまりに巨大な「金鯱」と名の付いた球状のサボテンである。いやあご立派ご立派。
日本一巨大な樹齢160年の金鯱は全国探してもここだけでしか見られない。高さ118センチ、周囲270センチ、重さ250キロ、というから、下手な相撲取りよりも巨大だ。
サボテンの種類も数多いが、日本においてはこの金鯱という品種のサボテンが見た目にも美しい事もあり、最もポピュラーに栽培されている。
ピラミッド型の5つの温室にはそのどれもが多種多様なサボテンが天高くそびえている。
日本に初めてサボテンが持ち込まれたのは16世紀後半で、南蛮船に乗ってやってきたと言われている。南蛮人がウチワサボテンの樹液を石鹸に使っていた事から「シャボン」から「しゃぼてん」と訛ったものがサボテンの有力な語源なんだとか。
温室の間を移動する中にも色々動物が飼育されていて見逃せない。アルマジロもいる。
地面に根を張るのが植物の基本かという固定概念を覆す「入鹿」という品種のサボテン。ヘビかミミズのように地を這うように成長するように見えるが、実際は頭から生長して尾の部分が枯れて無くなるという習性があるのだ。
なんだかよくわからないエイリアンみたいな格好のサボテンもいる。
サボテンの世界は実に奥が深い。そして栽培管理に手間が比較的掛からない。だからこそ熱狂的なサボテンマニアが全国にいるそうで、探してみたら「日本サボテン狂人会」という団体まであった(笑)
しかしこの温室で最大のハイライトがコイツだ!その名も「珍宝閣」!!
そのまんまな名前から、もう出オチになってしまってる訳だが、なんと地面からアレが生えてるではないか。どう見ても、アレである。
数あるサボテンの中でもコイツの存在感はヤバイ。姿形もサイズもそっくりそのまんまなのだ。そして先っちょの凹んだ形状も妙にリアルだ。
サボテンだらけの温室に大喜びの家族も、あまりにリアル過ぎる「珍宝閣」を見て見ぬ振りでそそくさと通り過ぎる。子供には見せてはいけないものでしたね!
珍宝閣だけじゃなくて「恐怖閣」という品種もあってこっちは凶器のような鋭いとげが特徴。普通に殺されそうな勢いのおっかないブツですね…
たっぷりと温室のサボテンを見た後に「うちでもサボテンを育てたい!」なんて気分にさせられたら、しっかりと出口はサボテン苗売り場になっておりました。珍宝閣があったら買おうと思っていたのに無かったのでそのまま出てきました。
現在熱海・伊豆エリアでサボテン温室を目玉にしている観光施設は伊豆シャボテン公園くらいしかないが、過去には「真鶴サボテンランド」「熱海サボテン公園」など数ヶ所存在していたのだ。
実はそのいずれもが伊豆シャボテン公園と同じ昭和30年代に開業しているというのが興味深い。ちょうどその頃がサボテンブームだったんだろうな。
だけど最後まで解せないのがメキシコ風のテーマパークなのになんで旗がルーマニア風なのかということ。青、黄、赤の配置も忠実。やっぱりこれって、どう見ても東京の信濃町でよく見るあの旗そっくりですよね…