流川通りに面する竹瓦温泉への入口「竹瓦小路」に入ってみましょう。表のアーチ看板はなんちゃってレトロ風味でちょっとアレなのだが中は「日本最古のアーケード商店街」らしい。
竹瓦小路に入ると天井には背骨のような形状のトタン張りの小屋組が見られる。大正10(1921)年完成のアーケードは愛媛出身の実業家佐々木長治によって当時の旧別府港に着いた観光客が竹瓦温泉まで雨で濡れずに行けるようにとの配慮で整備されたもの。
100メートル足らずの短いアーケード街は旧別府港があった当時ずらりと土産物屋が並んでいたらしいが現在はとことん鄙びたスナック街でしかない。人通りもまばらで、商店街の体は成していない。
しかしさすがに日本最古のアーケードと言われるだけの事はあってなかなかの風格。なお竹瓦小路のアーケードは2004年に「登録有形文化財」、さらに2009年には経産省の「近代化産業遺産」に指定されているお墨付き物件。改修されているせいか年代程ボロくは感じさせない。
しかしよく見ると脇道にまでご丁寧にアーケードがついている。もはや人の家の軒下を通るようなテンションなんですが…昔はここも土産物横丁だったんでしょうかねえ。こんな戦後のドサクサ風味な路地裏でも登録有形文化財と言われると畏まってしまいますね。
「夜は静かに出入りしましょう」との張り紙。ここいらの生活空間は大正末期とそれほど変わっていないようだ。
竹瓦小路にはちょいちょい怪しい脇道があるのだが、ここは特にそそられる。向こうの方に何かありそうな気配。ぬけられます。
抜け道を潜ってみるとその先には玄関扉が開いたままの古ぼけたお宅と「いらっしゃいませ」のマットが…一体何屋なんだこんな所で商売しているのは。多分スナックだと思うけど風俗関係だったらどうしよう。怪しすぎます…
竹瓦小路を抜けたら真正面に大きな唐破風造の玄関を構える豪勢な佇まいの竹瓦温泉の建物がデーンと現れる。このアプローチはたまらん。大正時代から観光客を魅了してきた大温泉街・別府の風格ここにあり。竹瓦温泉もまた竹瓦小路と共に登録有形文化財・近代化産業遺産に指定されている物件。入浴料金たったの100円で入れます。
明治12(1879)年に初めて作られた竹瓦温泉、当初は地元の漁師が来るくらいのしょぼい温泉小屋でしかなく「竹瓦」という名称も当時の小屋が竹屋根葺きだった事に由来しているらしい。しかし大阪-別府航路が出来て観光客が増えると湯治客で賑わうようになり建物もどんどん立派になって今に至ってきた。今の建物は昭和13(1938)年築。
そしてこの竹瓦温泉の周辺が怪しい怪しいソープ街となっている。のっけから無料案内所の派手な看板が見えるのだ。共同浴場の周りはみんな特殊浴場という温泉天国別府ならではの光景であります。
竹瓦温泉の横っちょの路地に入るとそこも質屋と風俗。色街の需要と供給のバランスに応える街づくりが今の時代にも生きている。ずっぽり遊んだ後は竹瓦温泉で一服するのも旅の楽しみという流れですか。
さらに竹瓦温泉の建物の裏手に回るとこんな怪しい路地裏風景が…そしてここにもしっかりソッチ系の店や連れ込み宿が隠れているという手の込みよう。アンダーグラウンドな別府の姿もここにあり。
どうもさっきから視線を感じると思ったら野良猫でした。どうでもいいけど路地の向かいの店もキャッツアイですね。