別府温泉発祥の地「浜脇」の遊郭跡を訪ねる

世界的にその名を轟かせる「湯の町別府」。別府市内各所に温泉街が形成されていて「別府八湯」とも呼ばれ1日や2日ではとても回り切れない規模なのだが、その中でも「別府温泉発祥の地」とされる浜脇地区は明治時代から続く温泉地で、遊郭もあった程の大歓楽街だったそうだ。

ひとまずやってきました浜脇へ。別府駅や中心市街地から2キロくらい大分市寄りの所にある街で、最寄りのJR東別府駅からも近い。かつての浜脇温泉の中心地だった場所は再開発されて随分味気ない街並みになっている。

旧浜脇温泉及び浜脇高等温泉跡地が1991年の再開発によってクアハウス「湯都ピア浜脇」や市営住宅、共同浴場、ショッピングモールを核としたやけに近代的な一画となっている。現存する浜脇温泉は団地のコンクリートビルの中に収められてしまっている。

辛うじて再開発前の温泉街の様子が記された地図付きの案内看板が設置されていて昔の街並みがどんなものだったか想像する事が出来る。明治時代から温泉街が形成され、温泉の周辺には沢山の旅館が軒を連ねていた事が分かる。

それにしてもユートピア=湯都ピアですか…お役所のネーミングセンスはどこに行っても安直だ…そもそも浜から温泉が湧くから「浜脇」の地名がついたらしいし世代を越えた駄洒落好きなのかしらね。

味気ない再開発エリアに居てもしょうがないので周辺の街並みを見に行く事にする。浜脇にはまだまだ現役当時の旅館街の成れの果てや遊郭跡が残っているというのだ。

再開発エリアから国道10号(別大国道)に向けて続く路地。かつては入江町といったそうだが、僅かに旅館街が残っている。既に色街の面影は微塵も残っておらず、ストリップ劇場の跡とかそういった俗っぽいものも一切見当たらない。

軒下に赤提灯を連ねる旅館二幸荘は元遊郭。外観は綺麗にされているが中はそのまま。遊郭時代から使われている建物が現役営業している旅館は浜脇でもここだけ。往時の雰囲気の中で花魁などに仮装出来る宴会をウリにしている。

さらに南側の一帯にもそれっぽさを残した古い街並みが見られる。再開発道路の終端から朝見川に向けて伸びる通り(上記の案内看板には上ノ町通りとある)に入る。

再開発道路に面した古い木造家屋。これもやはり元遊郭な何かなのか、増築を繰り返したような跡と何かを隠すかのようにトタンで覆われた壁…怪しい…

さらに裏に回り込んだらこんな光景が飛び込んでくる。こりゃ芸術作品だ(笑)近年居酒屋などでなんちゃってレトロ風の内装を施しているのをよく見るが、これはそのレベルでは到底真似は出来ない。元遊郭か何か知らんが街の歴史の重みを感じさせる家屋である。

朝見川に続く通りに入っていくと脇から細い路地が奥へ伸びている。普通の家にしてはやけに立派な造りの家が多いがこれも元旅館か貸席(遊郭)か…空き地も多く寂れっぷりが酷いのも特徴の一つである。手前の空き地にも以前は三階建て妓楼が建っていたらしい。

ここも容赦なく古びた民家や米屋の成れの果てが立ち並ぶ廃れた一画となっている。やはり浜脇が温泉観光地だったのも過去の話か…

通りの反対側から唐突に豪勢な洋風建築が現れる。これは何だと思ったがただの個人宅のようで一般公開されている建物ではない。旧別府銀行頭取だった平尾家が大正6(1917)年に建てたもので当時の別府市の予算の半分にあたる7万円が投じられたという大豪邸。何気なくこういうのがポツンと建っているのが浜脇の凄い所だ。

朝見川沿いの道に出るとそこには2軒の元妓楼が立ち並んでいた。そのうちの右側から。どっしり重厚な作りに飾りの着いた窓など明らかにそれっぽい装飾がなされているのでひと目見てそれと分かる。旧「貸席かしく」。

その左隣には洋風な佇まいの「貸席ますや」。色遣いの華やかさが特徴的で特に1階部分のタイル貼りが派手派手しい。隣の「かしく」もそうだけど空き家同然な状態になっていてどちらも使われていない。

玄関周りや横の装飾もカフェー建築風でなんとも素晴らしい。残念ながらこのまま朽ち果てるまで放置プレイっぽい。ひとまず見て回れる範囲で元遊郭っぽい建物はこのくらいのようだ。

ところで気になったのが国道10号北側の浜脇公園隣に佇むこの豪勢な2階建ての家屋。元旅館なのか遊郭なのか定かではないのだが、見た目は完全に廃墟なのだが玄関にバイクが止まってるしどうも人が住んでいるっぽい。重厚な塀に囲まれていて普通の家ではない事を物語っている。

浜脇公園側からこの建物を見るとこうだ。何だか壮絶な事になってるんですが…屋根瓦の上に雑草が伸び放題になっていてここ数十年は手入れされてはいない状況。廃屋にしか思えないのだが…

こうした建物も浜脇温泉の栄華の名残りなんでしょうか…結局ここが何なのか分からずじまい。事情に詳しい地元の方からのタレコミをお待ちしております。

別府
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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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