レトロな市場とアーケード商店街、それに三色旗もあるよ!奄美大島「名瀬」の中心市街地を歩く

鹿児島県

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奄美市 奄美大島 名瀬

ティダモールがあまりに近代的過ぎて街並み的にはちょっと物足りなかったが、アーケードを外れて東側にズレると土着色豊かな地元民向けの大衆食堂がわっさわっさ現れる。出前迅速な大衆食堂「味の銀海」…中華定食各種や麺類が食える店なようですが…

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その店先には何故か鳥かごが大量に置かれていて「軍鶏」のひな鳥がいっぱい飼われているのだ。まるで夜店の屋台の「ひよこ釣り」(特に大阪出身者限定の印象だが)を彷彿とさせるピヨピヨ音、大衆食堂の店先で衛生上どうかという野暮なツッコミはしないでおきましょう。有料で譲ってくれるらしく、島民は軍鶏のひなを自分の庭で育ててそのうち〆て食っちゃうんでしょうかやっぱり。

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そんなピヨピヨサウンド鳴りっぱなしの個性的大衆食堂の角を南に折れた先に、随分古びたコンクリート建造物の市場が現れる。昭和43(1968)年築と見た目通りに古い昭和の買い物スポット「永田橋市場」である。

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元々この市場も戦後の時代には川の上に建っていたバラック市場が前身で、それがクリアランスの結果このようなガッチリしたコンクリート造の市場として生まれ変わった形になる。

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永田橋市場のすぐ隣にある「末広市場」も同様、昭和の時代における島民の買い物スポットとして活躍した場所だが、今来てみると相当寂れきっていて、雰囲気がヤバイ。商店街の外れだし、やっぱり厳しいんですかね…

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永田橋市場の中に入ってみる。中央通路を往来して反対側まで出られるオーソドックスな造りの市場。その両脇にはババ服屋。なかなか良い感じのオワコン臭が漂っておる。

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特に生鮮食料品店系は廃業が相次いでいて、こんなオツな佇まいの魚屋もガラス張りの陳列ケースがホコリを被って汚れてしまい気の毒な状況に。買い物客の高齢化が進み、立ち行かなくなった店ばかりのようだ。

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現役営業している数少ない精肉兼惣菜店、それから靴屋がせいぜい細々と店を開けているくらいで、寂しい感じだったのだが、この時の様子は2013年春の訪問時のもので、最近はラーメン屋とか喫茶店など新規開業する飲食店が相次ぎ活気を取り戻しつつあるとの話もある。

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あと、市場内には奄美大島のローカルFM局「あまみFM ディ!ウェイヴ」とやらのスタジオもあって、単に寂れゆくだけの市場でなく世代交代が一応ながらも進んでいる事を示している。下手に大都市圏の近くでない分、救われてる面はあるかも知れませんな。

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買い物客の姿も殆ど見えない市場の中に吊るされた賑やかな万国旗がかえって物悲しさを漂わせる典型例を見た感じです。

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永田橋市場に近い銀座通り付近でも、また空き店舗がちらほら見られる。全体的にはやっぱり寂れ感は否めません。奄美大島自体、人口は昭和30年代と今と比べると10万人から7万人台にまで落ちている。人口の減少傾向は奄美群島全体に共通していて、人口が逆に増加している沖縄本島なんかに比べると、明暗分かれた印象がある。

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近所にあった「島の黒豚専門」と書かれた古い精肉店。店の中には「やぎ肉」の文字が見える…沖縄本島同様、奄美大島ではヤギを食べる習慣がある。食文化的にはやっぱり沖縄寄りなんでしょうかね。

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永田橋市場の真隣には「奄美大島カトリック教会発祥之地」の碑が建っている。奄美大島でキリスト教の布教が始まったのは明治24(1891)年の事。実は奄美大島は長崎県島原、熊本県天草などと並ぶカトリック信徒が多い土地でもあるのだ。

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現在も名瀬市街地には「カトリック名瀬聖心教会」があって、ティダモール中央通りの西側、県道79号(支庁通り)沿いに立派な教会がそびえているのが見える。

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カトリック教会敷地内に置かれた、奄美大島において初めてカトリックの宣教を行ったフェリエ神父の胸像。ちなみに今でも島内各所の墓地を見るとクリスチャンのお墓が結構見かけられる。また大正末期から戦前に掛けて島に住むカトリック信徒は迫害の対象にもなった事があった(→奄美カトリック迫害)、この辺も掘り下げると色々出てきそうなテーマである。

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あと奄美大島における路上観察で見逃せないのが、この「外面境界」と書かれた一見意味不明な表示。どうやら「ここまで俺ん家の縄張りだかんな」みたいな意思表示で置かれているものだと思われるが、一ヶ所二ヶ所どころではなくあちこちで見られる。このような表示をしている地域はちょっと他では見かけた事がない。奄美大島に来て「一字姓」の次に気になったものだが、興味のある方は是非現地で「外面境界」探しをしてみて欲しい。


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