崩れ去る炭鉱町の栄華・夕張本町「梅ヶ枝横丁」 (3)

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夕張本町の盛り場「梅ヶ枝横丁」を引き続き歩き回る。半数以上が廃墟店舗となったかつての夜の街はその匂いを微かに残しながら静かに街の死期を待ち続けているように思える。
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街から人が消え、歴史が今まさに潰えようとしている夕張の地でも空の青さと山並みは変わる事もないし、むしろ人間以外の生き物が元気に過ごしている。夏場やってきたのはいいがとにかく異様なのが「アブが多い」事である。車とかにも大量に群がってくる。虫嫌いにとっても北海道は「試される大地」だ。


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しつこいがどこを見回してもこんな廃屋ばかりだ。今でも残っている夕張住民の気持ちにしてみれば日常的にこんな風景ばかり目にして気分も落ち込むばかりだろうし、実際に破綻自治体となっていて公共サービスの全てがべらぼうに高額化しているので住みづらい事この上なかろう。もうすぐ夕張市の人口は1万人を切る事になる。
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廃墟ばかりが目立つ中で現存する数少ないカラオケスナック「グレース」の玄関口を見ると「バリバリ夕張」と書かれていて思わず吹き出しそうになった。
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あまつさえ道端の下水マンホールにまで「バリバリゆうばり」のフレーズが書かれていた。片手に「おすい」と書かれた映画のカチンコと夕張メロンを持って無理矢理夕張をアピールしている虎のキャラクターは石ノ森章太郎デザインの「シネガー」。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭のイメージキャラらしい。


「バリバリ夕張」とはかつて「炭鉱から観光へ」をキーワードに石炭の歴史村を中心とした観光開発が盛んだった時にテレビCMで流していたキャッチフレーズだ。バリバリ税金を湯水の如く使いまくった結果が今の惨状だ。バブルの名残りがプンプン感じられるCMに失笑。どうでもいいけど渡辺満里奈若いなオイ。
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梅ヶ枝横丁の南端あたりにはひときわ大きな雑居ビルが残っている。これも廃墟だろうか。「ダンススタジオ」と看板に書かれているように、そこそこの広さがあった建物のようだ。
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この建物を横側から眺めると独特の形状をしている事に気付く。見た目で感覚的に判断すると建物上部の意匠は映画館を思わせる。市内に最大16軒もの映画館があったという夕張の事だからここも昔は…と思うのだが、実際どうだったのか知る術もない。
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梅ヶ枝横丁が途切れた先の南側の空き地に目をやるとそこには潰れた廃屋が放置されていた。こんな風景、廃墟だらけの夕張では何も珍しい事はない。しかし北国の冬は無情にも古い家屋を雪で圧し潰してしまうのだ。
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さらに山側の路地に入るとそこは小規模ながら寺町が形成されている。夕張市民の死後のサポートはこの辺の寺におまかせあれと言った所だろうが、それにしてもコンクリート造の無駄に豪華な造りの寺である。周囲の廃墟だらけの街並みとは対比的な存在。やはり生まれるより死ぬ人の方が多けりゃ坊さんの仕事も増えますわな。
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ところで気になるのが本町商店街から急坂を上がった正面にある「石切夕張神社」跡地だ。
大阪の石切神社から勧請したという神社が何故夕張にあるのか関係が良く分からないが、専用ケーブルカー付きだったという無駄に豪華な参道も見事に草木に覆い隠されて、まともに階段を上がる事すらままならない。また、坂の入口にあった鳥居も撤去されている。
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その代わりに隣接する大法寺は現存していて、こちらは地味ながらも境内は掃除が行き届いていた。
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閉鎖された石切夕張神社の階段脇には「炭鉱殉職者追悼の碑」が置かれている。炭鉱労働者に事故死の危険性はつきものだが、夕張の場合も1981年に93人の死者を出す北炭夕張炭鉱のガス突出事故、1986年に62人の死者を出した三菱南大夕張炭鉱の爆発事故が発生しており、これが夕張から全ての炭鉱が閉山するきっかけとなった。
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今は解体されて存在しない割烹料亭「美登利」の建物を眺めながら梅ヶ枝横丁の北側に入っていく事にする。

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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