これは赤線か、軍都の名残か?豊橋駅西口(西駅)のバラック飲み屋街を歩く

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愛知県豊橋市…東三河地方の中心都市、名古屋から70キロ離れていて、むしろ静岡県遠州地方との結びつきが深く、名物と言えばヤマサのちくわとブラックサンダー、ブラジル人がやたら多く、三河港は自動車輸出入量日本一…そのくらいの認識しかなかった街だが、戦前は軍都だった事もあって、市電(豊橋鉄道市内線)に乗った先の東田町や、駅南側の有楽町にはそれぞれ遊郭跡が存在するなど独特の歴史を持っている。

豊橋市 豊橋駅西

我々がやってきたのは、新幹線も止まる豊橋駅の真ん前である。しかし同じ駅前でも西口、いわゆる「駅裏」とも呼べる場所だ。豊橋鉄道の乗り換え口や繁華街などがある東口とは違って、こちらはかなりうらびれた雰囲気でろくな商業施設がない。地元では「西駅」の通称で呼ばれているらしい。駅西ではなく何故「西駅」なのかよくわからないが、まあどっちでもいい。

豊橋市 豊橋駅西

豊橋駅西口を降りてすぐ線路沿いの右手の路地に入ったあたりの一帯が今回の目的地だ。駅前一等地にトタン張りの香ばしい佇まいの飲食街が一直線に連なっているという、戦後のドサクサ風味な街並みが現れるのである。特に赤一色に塗りつぶされたトタンが目立つ「赤のれん」は存在感がでかい。餃子で有名な地元の老舗です。

豊橋市 豊橋駅西

そんな「赤のれん」以降、100メートルの区間にわたって2階建ての長屋風飲食街が形成されている豊橋駅裏の風景。自動車社会全開の東海地方でも指折りの主要駅で利用者も多い名古屋駅、岐阜駅、豊橋駅といった大型ターミナル駅の駅裏が軒並み糞怪しいのが共通しているのは何故だ。

豊橋市 豊橋駅西

駅裏の場末感極まる飲み屋街には「探偵・浮気身上調査」の怪しげな探偵社ポスターがよく似合う。やはり長屋の二階は店主一家の生活スペースなんだろうか。チャコの駅裏物語・イン・豊橋。

豊橋市 豊橋駅西

新幹線も止まる駅前なのに堂々と廃墟状態のまま放置されている店舗跡まであったりするのが豊橋「西駅」の実力。店構えの古臭さも赤線地帯のそれを彷彿とさせる迫力がある。何年放置プレイかまされてるんだ。

豊橋市 豊橋駅西

東田仲の町や有楽町が元遊郭だというのは聞いていて、かつての軍都豊橋における慰安所の需要と供給はよく考えられていたようだが、非公然的な赤線地帯はもっと沢山あったようで、やはり人の行き来が激しい駅前、いや、必然的に駅裏だからこそ、このような怪しい空間が残っていても不思議ではないはず。赤線としての歴史は定かではないが、限りなく黒に近いグレーな感じはする。

豊橋市 豊橋駅西

それぞれ店の玄関口には「二十才未満の方はお客さんとしての入店をお断りします 店主」のプレートが掛かっていて、なんだかイケない場所にやってきた感を盛り上げてくれる。つまり裏を返せば、お客さんとしてじゃなければ、未成年者の入店OKという事だろうか。

豊橋市 豊橋駅西

2階の窓から洗濯物が干されていたりするので、ここには人が生活しているのは確かなようだ。なかなか素敵な住環境で宜しいではないか。しかしそれにしても居酒屋の「吉街舞楽」というのは何とお読みしていいのやら、そのまま言ってしまうとモロに放送禁止コードに引っかかるぞ。

豊橋市 豊橋駅西

バラック飲食街を抜けるとその先に城海津跨線橋が掛かっており、その上からオンボロ長屋の全景が拝めてしまう。朝焼けの赤い日に当たって、建物の発色が非常に良い。素敵な駅裏風景だね。

豊橋市 豊橋駅西

そして跨線橋を超えた先にもまだまだ怪しげな建物が残っていて見逃せない。常にアンテナがビンビン反応しまくるのだが、軒並み廃墟化していて泣ける。落書きだらけで結構荒らされてるし…

豊橋市 豊橋駅西

跨線橋下の限りなく赤線臭い一画…角に立っている小さな掘っ立て小屋も、実はお店だったりして玄関上の電灯に屋号が記されている。いかんせん行った時期が正月というのが悪かったが、雰囲気的にはまだ現役っぽい。何の店なのかは確認していないがネットで調べると色々香ばしい話が出てくる。そして隣の2階建て民家も遊郭建築臭い。

豊橋市 豊橋駅西

で、この付近にも連れ込みか?と思えるような古めかしい旅館が何軒か残っているし、まあ色々想像を巡らせるとめくるめく世界が広がってきた気がしました。軍都としての歴史は戦後終わってしまった豊橋だが、何の事はない、ひっそりと街の系譜は受け継がれていたのである。

豊橋市 豊橋駅西

城海津跨線橋の上に登る階段の途中にある手書きのオツな住宅地図にも旅館やスナック、その他店舗の名称がびっしりと書かれている。かなり古い地図のような気がするが、この地図からも色々と想像力を掻き立てられる。

豊橋市 豊橋駅西

最後に城海津跨線橋から豊橋駅構内を眺める。そういえばこの豊橋駅が地上駅なままなのは、今立っているこの跨線橋が邪魔になって東海道新幹線開通時に駅を高架化できなかったかららしい。長い線路が駅前の街並みを東西に分断して、その結果「西駅」はうらびれたアングラゾーンになってしまったのだろうか。

いずれにしても豊橋は非常に興味深い街だ。また立ち寄りたい。


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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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