花柳界も栄えたみちのく秋田の大歓楽街「川反」を歩く

東北地方全体を指して呼ぶ「みちのく」という言葉には「遠い場所」という意味も込められている。本来は陸奥国、つまり現在の青森県のみを指していたが次第に拡大解釈され太平洋側に面した東半分がみちのくだという説があったり、面倒臭いから東北6県全部みちのくでいいやと色々意見が分かれているが、まあそれでいいよね。

そんな訳でやってきた「みちのく」の秋田でございます。「遠い場所」と言われた東北地方も新幹線が通じたおかげで東京からも楽に行けるようになった。東北新幹線延伸で東京-新青森間が直結された今「みちのおくの国」青森よりも心理的に遠くなってしまったのが秋田。東京から秋田新幹線「こまち」で4時間掛かる。遠いよ長いよ。

ひとまず今回秋田を訪れた目的の1つに秋田市内の歓楽街「川反」の街並みを見るというのがあった。川が反ると書いてカワバタ。ちょっと変わった地名であるが秋田で遊ぶと言ったらこの川反以外に考えられる場所がない。

秋田駅からは1キロ以上離れているので駅からとぼとぼ歩く。駅前もそうだけど中心商店街の空洞化が凄まじい。東北6県で最弱の県庁所在地と思われる。

駅前の通りを西に向かって10分ちょい歩くと旭川沿いの土手長町通りに出る。川に沿って風流な柳並木が現れるのだがこれが「川反」の入口。古くは秋田美人の名を全国に轟かせた川反芸者のお膝元だが現在でも秋田市内随一の飲食店密集地となっている。

旭川沿いに飲食店ビルが立ち並ぶ姿はまるで京都鴨川を連想させるかのようだ。芸者街だったのでなおさら京都っぽい。今では芸者も数える程になってしまったらしく、歌舞練場らしき建物も見当たらないし舞妓はんが出歩いている光景もない。

昔の風情は消えたらしいが現在では別の意味で風情を感じさせてくれる。藩政時代は普通に「川端」と書いていたが、そのうち武士が川の東側に移り住むや川端は川の反対側にある街だという事で「川反」の字が当てられたとか。

そんな歴史ある芸者街に韓国居酒屋の看板とか置かれてしまうと情緒も糞もありませんが他国に島乗っ取られて要塞まで作られて大統領にまで勝手に上陸されて「遺憾の意」とか呑気に言ってるようなヘタレ国に住んでますもの、この程度はまあしょうがないですわな。

それ以上に風俗店の看板まで掲げられている始末。川反芸者の時代は遠い昔の話となりつつあるのか。

さてさて、目の前の旭川を渡って川の反対側に行く事にしますよ。三丁目橋を渡った西側は賑やかな飲食店街が広がっております。ほんと川反って字面通りだな。

川反の繁華街は旭川沿いの南北に広がっているが、まず三丁目橋の真正面に現れるのがすずらん通り。ここらは無難に郷土料理やら何やらの居酒屋が並んでいて、まあ特に突っ込みどころもない。

で、なぜかこのすずらん通りに韓国ドラマ・アイリスのロケ地ですよとPRしている看板が突っ立っているのね。アイゴー。そんなドラマ知りませんニダ。予算不足に悩む民放が韓国ドラマを輸入して放送したのはいいけど肝心の視聴率が芳しくなかったとかいう…まあこんなサイトで掘り下げるネタじゃないからやめとくわ。このドラマで秋田の各所がロケ地になったのね。

土着色満載の郷土料理居酒屋。稲庭うどんとかきりたんぽくらいしか思いつかないが、じゅんさい、とんぶりは地元民以外あまり食べる機会はないだろう。食べた事あります?皆さん。

特に今でこそ畑のキャビア呼ばわりされる「とんぶり」はその昔県北の米代川流域の農民が飢餓で苦しんでいた中、ホウキギの実をなんとか食えるようにならんかと知恵を絞って生まれた食い物。正体はホウキギの実を加熱加工したものである。貧しさから生まれる食文化すなわちソウルフードなんですね。

場所柄こうした無料案内所も多い。「秋田美人がいる格安店まで」と書かれていたりするのが地域性丸出しでいい。川反の繁華街も広いが北側は普通の飲み屋街で南側に行くにつれて胡散臭さが増す。しまいに南端はソープ街ラブホ街という具合。

夜の賑わいはというと…いまいち微妙な感じですなあ。あくまでメインストリートは旭川沿いに並行する川反通りとなるので、そっちに行った方が面白そう。

県庁所在地であるはずの秋田市にも基本的に観光客はあまりおらず、秋田駅前からタクシーに乗って観光名所みたいなのありますかねえとジジイの運転手に聞いたら「東京から何しに来たんだ、見るとこなんかないぞ」とどぎつい秋田訛りで言われてしまい何を言ってるのか意味不明で思わず3度ぐらい聞き返したくらいだ。難易度高いなあこの街。

京都みたく芸者文化が観光資源になっていればタクシー運転手も何も言わずにここまで連れてきてくれるだろうが今の川反界隈を歩くとこのような看板があちこちに立ってる訳です。「客引きを許さないまち」…まあ言うまでもなくキャバクラや風俗店だらけのごく普通の歓楽街となっていて芸者街だという名残りも言われなければ気づかない程である。

川反のメインストリートの1つ川反通りは旭川の裏側に並行している。夜になると客引きのボーイが至る所で待ち構えていて何ともアレな雰囲気だ。年寄りばかりの秋田のタクシー運転手は訛りがきつすぎたが、ここの人達は訛りは思った程きつくはない。標準語化が進んでるのかね。

無料案内所も多数。何度も言うけど芸者は数える程しかいませんからね、キャバ嬢ばかりです。

キャバクラばかりで俗っぽさ全開の川反通りだがこんな土着臭強めな郷土料理居酒屋「北洲」もある。創業50年以上の老舗らしく外観はなかなかの風格。

玄関脇のイラストがまた渋い。晩飯はここで食ったが、きりたんぽやしょっつる鍋は1人サイズでも出してくれるし色々気が利いて良い。マスターは東北の男らしく寡黙だが温厚そうな方でしたよ。

郷土料理居酒屋と並んで系列店と思われる中華料理「北洲飯店」まであるんですが…しかし建物は無駄に立派である。目の前に保冷車が止まってて残念な写真になっているがな。

その向かいには今の川反で唯一芸者街の風情を留めていると思われる料亭「濱乃家」の建物もあり。雰囲気のいい玄関口に車がむりくり突っ込んで止まってるのでこれまた残念な写真。でもこんな感じの古式ゆかしい店はほんの一握りとなっている。

路地裏にまでびっしりキャバクラ店舗が密集しまくりですがどの店も安さをウリにしている店が多く、店先の看板に写ってるキャバ嬢も全然普通の子にしか見えない。この業界もひたすらデフレの波に飲まれてますね。

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