蔵の街栃木市・巴波川沿いに残る廃墟群「富士見町遊郭跡」

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栃木県栃木市は県庁所在地の座を宇都宮に奪われながらも今なお県名を冠する街で東武日光線経由で浅草から片道1時間半もあれば来る事が出来る距離にある。近年「蔵の街」としての観光アピールが地味に行われていて小江戸川越に続けとばかりのテンションである。

そんな栃木市にひょんな理由でやってきた我々取材班。栃木市と言えば元々県庁所在地だっただけに蔵造りの街並みだけに限らず明治時代からのモダンな洋風建築も多数残るレトロタウンなのだが、当然それだけの歴史もあれば遊郭の一つくらいあるだろうとソッチ方面が気になってしょうがないのであった。



江戸時代から巴波川(うずまがわ)の水運で栄えてきた栃木の街。巴波川は現在も観光用の遊覧船が往来するなど地味に観光地として生きている。遊覧船の客引きにラブコールを掛けられるも日が暮れそうだったしその辺は全部スルーでございます。

蔵造りの街並みが続く例幣使街道の西側を流れる巴波川沿いには昔ながらの商店が立ち並んでいる。栃木名産のかんぴょうが売られている個人商店。いかにもな観光地臭は皆無。

そしてやってきたのが巴波川沿いの道を東武栃木駅方面に南下した富士見町の一画。煤けた佇まいの酒屋の残骸が角地に見られる。「高級清酒うづま錦」と書かれた古めかしいテント看板が味わい深い。酒屋の角を曲がると質屋という、何か曰くを感じさせる場所にあるものはと言うと…

かなり廃墟めいた家屋が向かい合って並ぶ怪しげな路地。今でもこの界隈はちゃんとした住宅街でそれなりに住民も多いのだが、この一画だけが奇妙に空き家だらけとなっている。

しかもどの建物もちょっとやそっとの年代物ではない。もしかすると戦前からこの佇まいだったのかと思わせるような古い木造家屋ばかりなのである。今にも剥がれ落ちそうな板張りの壁、トタン葺きの屋根…手前にあるのは古井戸でしょうかね。

人目を忍ぶかのような佇まいの木造家屋群は物の見事に空き家ばかり、それでいて解体される事もなく放置プレイのまま残されている。あまりに不自然で建物をジロジロ見ていたら通りがかった近所のおじさんに「ここは昔遊郭だったんだよ」と聞いても居ないのに教えてくれた。

するとこれらの建物は当時から残る娼館という事になるのだろう。またいつもの通り昭和33(1958)年の売防法施行後はお役御免になったのだろうが、それ以後は普通の住宅として使われていたのか、そのまま廃墟になったのか、どんな余生を過ごしていたのだろう。

それっぽい建物は4~5軒くらいなので規模としては大した事はないのだが、こうして見ても明らかに普通の家ではない佇まい。不自然に波トタン板で隠された玄関口の中には何があったんでしょうね。

揃いも揃って全部ここだけ廃墟というのがたまらなく胡散臭いのだ。それは元遊郭だと通りすがりのおじさんに言われる以前に薄々感づいてしまいそうな程いかにも臭い。でもよく取り壊されずに今まで居るもんだなあと、それだけが驚きで。

さらに裏手の路地に回るとこれまた壮絶な光景が見られる。荒れ果てて草ボーボーになった裏庭もそのまま残されていたのだ。

外来種のセイタカアワダチソウが自然の目隠しとなって裏庭の全景を拝むのが難しい。二階の雨戸は締め切られているにも関わらず風化で崩れてしまい中身が見えてしまっている。

もはや主を失ったままの娼館の数々、一体栃木市の遊郭跡がどのように栄えて消えていったか詳しい歴史も分からずじまいだったが、県庁所在地だった街であるにも関わらずその手の資料がやたら少ないのは何故でしょうな。

かつての遊郭跡の路地から真向かいには新開橋という名前の小さな橋が架かっている。昔はここが「行こか戻ろか思案橋」だった訳だろうか。巴波川の流れが二手に分岐したすぐ先のあたりになる。

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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