せとものの街・瀬戸市の赤線跡「陶華園」があった場所、新開地交差点付近を歩く

愛知県

瀬戸物の一大産地として名古屋の郊外都市の中ではいち早く発展してきたのが愛知県瀬戸市で、全国各地から瀬戸物を買い付けに来た商人やら、窯元の労働者やらが沢山街を練り歩いていたかつての街には赤線地帯も存在していたという話もある。

愛知県瀬戸市 瀬戸市役所前

名鉄尾張瀬戸駅の西500メートル程の場所、瀬戸市陶原町の国道363号(瀬戸街道)「新開地」交差点。このあたりがかつての赤線跡だったと聞いてやってきましたよ。市内随一の幹線道路沿いで場所も非常に分かりやすいし、交差点の名前まで「新開地」なのでこれまた分かりやすすぎです。

愛知県瀬戸市 瀬戸市役所前

おまけに名鉄バスの停留所の名前も「新開地」になっている。神戸市にも新開地がありますがあちらも娯楽の街、新地とか新開地と名のつくところは大抵そうした過去もあるもので、瀬戸市の新開地もかつては「陶華園」という名の赤線地帯があったらしい。

愛知県瀬戸市 瀬戸市役所前

国道363号沿いにぽつぽつ個人商店や飲食店が立ち並ぶこのへん、新開地商店街という名前もついている。すっかり寂れてしまい、神戸の新開地のような「飲む打つ買う」感が皆無なのが特徴。昼間っから酔っ払ってグダを巻いてるダメ親父とかがいると絵にもなるんですが、そういう光景はありません。

愛知県瀬戸市 瀬戸市役所前

国道沿いに立ち並ぶビルもそれぞれ一階部分が店舗テナントになっていて、薬局や美容室などもあるけど、「売物件」の看板が掛かったまま放置され半ば廃ビルになってしまった箇所も多い。一方で背後には立派なマンションがそびえていてその対比が現れている。焼物の街も今では名古屋のベッドタウン。

愛知県瀬戸市 瀬戸市役所前

3階建ての古びた住居兼オフィスビルも、その一階部分には昔コンビニでも入っていたかのような感じだが、不法侵入者を防ぐフェンスが一面に張られていて中に入れなくなっている。見た目には完全に廃墟同然。

愛知県瀬戸市 瀬戸市役所前

国道を挟んだ向かい側にも相当くたびれた廃ビルが見える。「SANYO」のロゴが残っているので昔は街の電器屋さんとかだったのかも知れんが、それにしても街一番の目抜き通りのはずなのにこの惨状は何なのか。

愛知県瀬戸市 瀬戸市役所前

廃ビルの足元に置かれたままの、恐らく通学中の児童向けの横断旗を立てる台と思うんですが、錆だらけになってますね。「よく見てからハイ横断」と書かれている下には左手を挙げる児童のイラストが。「手を挙げて」を強調したいが為に左手がビョーキみたいに腫れ上がってます。

愛知県瀬戸市 瀬戸市役所前

国道沿いの廃ビル率が高いのが目に付く「新開地商店街」な訳だが、元赤線というだけあってその当時からの名残りではないかと見られる古い飲食店…の残骸もちらほら見られる。

愛知県瀬戸市 瀬戸市役所前

終末感漂うこれらの飲食店街もかつての遊客目当てのものだったのかと言われると、それも昔過ぎる話なのでまるっきりそうかと言うのは違うと思うんですが、まあ地元民向けですよね。

愛知県瀬戸市 瀬戸市役所前

しかしそんなオワコン飲食店街の中でもとりわけ存在感を轟かせる酒場がこちら「丸幸」。見た目の古さもそそられるが、やはり窯元で働く肉体労働者の街にはどんなに寂れてもこのような乙な酒場が生き残っているのです。

愛知県瀬戸市 瀬戸市役所前

だが店の軒先にわざわざ「尊皇」と3回繰り返して書いてあって、まさか右翼関係かと勘違いしそうになるが「尊皇」という銘柄の日本酒が同じ愛知県の幡豆町(現・西尾市)にあるんですよ…地元では数少ない昭和の酒場。こういう店を見つける前に飯を食ってしまった後だと激しく後悔しますね…そのうち機会があれば寄ってみたい場所の一つです。

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