金沢・加賀藩主前田利家公を祀る「尾山神社」の真ん前に広がるバラック商店街を見に来た

石川県

金沢駅からとぼとぼ雪の降る中を歩いて百万石通り沿いに香林坊まで行く手前に、加賀藩祖前田利家公を祀る尾山神社がある。

前田利家公は加賀百万石を語る上で欠かすことのできない人物な訳だが、やはり地元金沢では豪勢に祀られているのであった。ご立派な鳥居を潜った先にはまた一つ重厚な構えの神門がそびえている。

国重要文化財でもある尾山神社の神門。明治6(1873)年に創建された比較的歴史の新しい神社だが、神社創建とほぼ同時期に築かれた神門は和洋中折衷型のかなり珍しいスタイルの建築物となっていて目を引く。

明治初期に作られたとは思えないセンスだが、建物を設計したのがオランダ人技師のホルトマン。日本人以外が神社の門を作るのも珍しい話だ。国宝指定されたのははるか後の昭和10(1935)年の事。それまでは神社に似合わぬ醜悪な建物だと非難を浴びたらしい。ちなみに頂上の相輪の先は「日本最古の避雷針」になっている。

三層構造になった神門の上部には、扉や装飾の至る所に加賀藩前田家の梅鉢紋があしらえている。

そして神門の下部は洋風建築を思わせる石造りのアーチとなっている。仏教寺院に限れば伊東忠太デザイン築地本願寺あたりのセンスを思わせる妙ちくりんな建物だが、これが神社の神門となると、あまり他に例がない気がする。

神門を潜るとそこには上部に登る為の梯子式階段が据え付けられている。当然だけどこの上に登る事はできません。

振り返るとこんな感じだ。百万石通りから鳥居、神門を経て本殿までを一直線に結んでいる。兼六園みたいな有名どころもいいけど、この尾山神社もなかなかシブイ。

2階部分の窓にはカラフルなステンドグラスが嵌めこまれている。夜はライトアップもやるらしく、ステンドグラスの内部が一層綺麗に輝く。明治初期の人間もなかなか粋なセンスをしてるものだと感心。

でまあ、神門の方ばかり目が行ってしまい肝心の本殿の参拝を忘れるのもアレなので、きちんと済ませておこう。

「屋根雪注意」の看板がある通りかなりの量の雪が屋根下に溜まっていた。北陸特有の重く湿った雪である。まともに落雪を被ると結構シリアスなので注意すべし。

本殿の横には祭神として祀られている加賀藩祖前田利家公の騎馬像が鎮座しているが他は特に目ぼしいものもないので、ひとまずこのくらいで境内を出る事にする。

尾山神社自体も見所のある場所だが、それよりも気になったのが神社入口の両側にびっしり連なるバラック横丁の存在である。先ほどまでは加賀百万石の都会的な風景ばかり見せ付けられてたのが、ここで一気に形勢が逆転するのだ。境内を出て神門手前の階段を降りるとその右側にかなり濃密に淀んだ路地が隠れている。

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