青森県の超メジャー観光地は”死者に逢える場所”…下北半島の霊場「恐山」 

青森県

青森県の下北半島を中心に、東北一帯には独特の地蔵信仰や、それに基づいたイタコで知られる民間信仰が残っている。

特に昔の東北地方は飢餓に苦しむ貧しい寒村が多く、死という存在が身近にあった事から、死後の世界へ募らせる思いからこうした信仰が残っているものと見られているが、その信仰の中心的存在であるのが下北半島の恐山だ。

「人が死ねばお山(恐山)さ行ぐ」

古くからそう言い伝えられている東北地方では「死後の世界」は決して単なる空想や、近年目立つテレビの胡散臭いスピリチュアルなんとやらといった軽々しい存在ではなく、先祖代々人々の暮らしの中で連綿と受け継がれている非常に身近な概念であるのだろう。

その恐山への道は、毎年ゴールデンウィークのさなかにある5月1日に開山する。恐山山地の残雪がおおよそ解け、車で行けるようになってからだ。青森市や八戸市からだとかなり遠いが、むつ市街地の田名部町からだと、およそ30分程度で行ける。

霊場恐山への途中の山道に、沢山車が止まっているので何事かと思って降りる。すると観光客がよってたかって山水を飲んでいる光景に出くわす。

山水は山水でも、案内板には「恐山冷水」と書かれている。言い伝えでは不老水と謳われ、一度飲めば十年、二度飲めば二十年若返るとか。本当なのかどうか分からんが一応は長生きしたいので飲んでおこう。

恐山を訪れる参拝者は、参拝前に身体を清める為にここで冷水を口にするのだ。

恐山冷水が流れる山中は青森ヒバが鬱蒼と生い茂る完全に自然の真っ只中だ。開山直後のゴールデンウィークだとまだまだ大量の残雪が山の斜面を覆い隠している。

恐山冷水を過ぎて峠道を登りきると、山道が開けて、宇曽利湖畔のカルデラ盆地へと差し掛かる。途中にはまるで商売っ気のない不気味な佇まいのバラック風味の建物が現れる。「しゃくなげ荘」という温泉旅館だ。

恐山のカルデラ盆地は火山地帯で、常に硫黄臭が漂っている。

しゃくなげ荘の横っちょには「イタコの館」「イタコ口寄せ」と書かれた真黄色の目立つ看板が置かれていた。イタコあり宿あり温泉ありとえらく至れり尽くせりである。この付近は湯坂温泉という記述もあるが、宿がこの一軒しかない。

実はしゃくなげ荘の横に地獄釜と呼ばれる温泉溜りがあって勝手に入浴出来たそうだが、溺れたのか有毒ガス(今流行りの硫化水素も含まれている)かで死んだ人がいたらしく、現在は埋め立てられてしまっている。ちゃんと宿の温泉を使おう。

しゃくなげ荘や地獄釜などがある付近を過ぎると、さすが死後の世界である恐山らしく三途の川に橋が掛かっている。山の上だからか知らんがやたら風が強く、カルデラ湖は激しく波立っている。

宇曽利湖は近くの沢から温泉が流入している影響で強酸性で、やけに水の色が黄緑がかっている。

もっともらしく「三途川」と立て札があるのをよく見ると、その横に「正津川」と書かれていた。こっちが正式名称のようだ。参拝者によって沢山石やお地蔵様が積み上げられている。

正津川は宇曽利湖から川の水が津軽海峡に流れ出す唯一の川で、橋の下を見ると流れが非常に早い。

なるべく人のいないタイミングを狙って写真を撮っていた訳なのだが、周囲はかなり人だらけ。三途の川をバックにリア充カップルがピースサインしていたりかなり間抜けだ。

恐山は霊場として知られる以前に有名な観光スポットでもある。場所柄にもなくはしゃぎ回る観光客や家族連れの姿が目立つので、オドロオドロしい霊場のイメージそのまんまにやってくるといささか拍子抜けすることだろう。

そんなこんなで霊場恐山に辿り着いた。まるで健康ランドかと思うほど観光客の車がずらりと並んだ駐車場にレンタカーを置く。

正式には恐山菩提寺という寺である。貞観4(862)年に開山し、高野山、比叡山と並ぶ日本三大霊場の一つ。

恐山菩提寺の入口横には立派な六地蔵尊が鎮座している。やはり恐山が地蔵信仰のメッカであることを感じさせる。

恐山に参拝する前に名物の「霊場アイス」でも食べていくことにしよう。死後の世界とか霊場といったフレーズとは真逆の俗っぽさで笑えてしまうのだが、ずっと昔から営業している。

ヨモギ味、ブルーベリー味、バナナ味(白)のミックスで300円。食感は秋田のババヘラアイスに似て、シャーベット気味なアイスクリームだった。

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