スパゲッチの店「オーマイキッチンこも」 – 昭和33年築「岡ビル百貨店」3階に唯一残るレトロ食堂

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今回やってきたのは愛知県岡崎市。徳川家康公ゆかりの地で八丁味噌の生産地、三河の中心都市で交通の要衝。名古屋の都心部から名鉄東岡崎駅まで片道30分くらいで来れる。一応ここが岡崎市の中心市街地に最も近い駅となる訳で、駅前はバスターミナルなどもあってそれらしい体裁を留めている。この東岡崎駅の北口にそびえるレトロ駅ビル「岡ビル百貨店」に用事があったのだ。

岡ビル百貨店 外観

この岡ビル百貨店、駅ビルとしてはかなり古く昭和33(1958)年完成という恐るべきヴィンテージ物件なのであった。昭和33年といったら東京タワーが竣工したり全国の遊郭が売防法とやらで営業を廃止した年である。それは55年前のこと。岡崎城などにも近く多分岡崎観光の拠点としても機能しているはずだが、見たところ鄙びた地方都市の玄関口でしかない。

岡ビル百貨店 外観

岡ビル百貨店の孤高の佇まいを一目見て、これは無視するわけにもいかんだろう。特に3階部分の「お食事処手作りの店こも」と一枚一枚手書きで一文字ずつ描かれ干からびたポスターがすこぶる怪しい。とりあえず駅ビルに入ってみますかね。

岡ビル百貨店

名鉄東岡崎駅の改札を出てすぐの所に岡ビル百貨店の入口がある。2階と3階部分が商業施設になっている。今時の洒落た店は全くあらず、昭和の時代から入居を続ける老舗の土着店ばかりが入っている。階段で上がった先の2階部分は全然現役なのだが、その上の3階が凄いんだな…

岡ビル百貨店

だいたい3階へ上がる階段の前には著作権的にどうなんだかと思える、どこかで見た事のあるなんとかダックの絵が描かれていたり、昭和のゆるい感覚が生き残っている。この感覚で生きてきた世代には恐らく中国の石景山遊楽園あたりもどこが変なのか素で気づかなさそうな感じもあるのだが、それが国家の壁というより世代の壁なんですかね。

岡ビル百貨店

3階の殺風景さは相も変わらずだった。「こも」一店舗がスペースを独占してしまえるのか随分離れた所にメニュー表が貼り付けられた衝立やらテーブルが置かれている。なんともシュールな光景である。

岡ビル百貨店 こも

店舗が撤退してガランとした3階の空間にポツンと置かれた「こも」の食品サンプルが乗った小さなテーブルが哀愁を漂わせている。生花でなく造花を使いたがるのは手入れが不要で高齢者の方々には都合が良いのであろう。くたびれたレトロ店舗にはよくあるケースである。

岡ビル百貨店 こも

半年前くらいに一度岡ビル百貨店を訪問した時にこの店を発見したのだが、生憎直前に食事を済ませていた後なので、入らずじまいで東京に帰ってしまっていたのだ。それがどうしても心残りで、再開発で岡ビル百貨店が無くなる前にここで食事しなければと思って再訪したのであった。相変わらず造花の装飾が激しすぎる。昭和の匂いが強烈に漂ってくる。

スパゲッチの店…

しかも看板に「スパゲッチの店」ですからね。店名の「オーマイキッチン」もなかなかくたびれたセンス。やはり名称の由来はオーマイスパゲティから来てるんでしょうか。再開発を控え殆どの店が撤退した岡ビル百貨店の三階で孤高の存在となってしまっていた。

岡ビル百貨店 こも

玄関脇に陳列された食品サンプルの数々、スパゲッティ系以外にもハンバーグステーキ、オムライス、カレーやピラフなども一通りやっている。古くからの街の洋食屋である。折角「スパゲッチの店」と書いているので、オーダーするのはスパゲッティ系に決めた。

岡ビル百貨店 こも

意を決して店の中に入ってみる。そこには案の定昭和の時代がこびりついたかのような内装。窓側にテーブル駅が数席、向かいがカウンター席になっている。店の年季の入り方同様な老夫婦がひっそり切り盛りされているようだ。店内を流れるラジオの音声、そしてやはり中日新聞が置いてある。

「こも」のエビピカタスパゲッティ

「こも」のエビピカタスパゲッティ(750円)はサラダもついて適量サイズ。さすが手作りの店を自称しているだけあって飾らない気取らない仕上がりになっていた。昔の喫茶店のスパゲッティってこんな感じだったよねーと懐古に浸る事が出来る。

あんかけスパとか気取ったイタメシ屋が幅を利かせている東海地方だけども、もう少しこの手のスパゲッティが食えるまったりとした喫茶店が生き残っていて欲しいもんだ。

2016年までの予定で新駅ビルの工事が完成して東岡崎駅が立派な橋上駅舎に生まれ変わる時には、この「岡ビル百貨店」は解体される運命にある。それまでは多分営業を続けておられると思うので、岡崎に来られた際はぜひどうぞ。

オーマイキッチンこも

昼総合点★★★★ 4.0

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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