北朝鮮帰国事業と拉致事件の舞台「新潟港」を訪ねて

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新潟と言えば朝鮮総連と万景峰号であり北朝鮮による拉致問題がホットな土地である。拉致被害者が日本に戻ってくるなどして世論が高まった時期も十年一昔。国交のない北朝鮮籍の船を受け入れていた日本国内でも数少ない港の一つである新潟港界隈はどうなっているのか、ちょっと様子を探りに行ってみた。

新潟港の場所は新潟の中心市街地からさほど離れてはいない。信濃川最下流部一帯にかつて万景峰号が出入りしていた国際旅客ターミナルや朝鮮総連新潟県本部といった施設が集中している。新潟駅から歩いて来れなくもないが、一応最寄りに中央埠頭バス停がある。



新潟港国際旅客ターミナル近くの竜が島地区には国道113号(東港線)沿いに柳並木が連なる街並みが見られる。通称「ボトナム通り」。このボトナムというのは朝鮮語で柳を意味する。

戦後の在日朝鮮人の北朝鮮帰国事業の最盛期、昭和34(1959)年に数ある日本海沿岸の港湾都市の中から当時の新潟市長が新潟港からの帰国者の出港を受け入れ、その後日朝友好のシンボルとしてこの道路沿い2キロメートルに渡って305本の柳を北朝鮮帰国者が植樹寄贈した、というものが残っている。

ボトナム通りという名前は柳並木の寄贈を受け感激したという当時の新潟県知事が名付けたものだそうだ。今ではあまり想像できる光景ではなく「親北朝鮮だ」とレッテルを貼られてしまいそうな行為だが当時はまだそういう時代じゃなかった訳ですな。
今では寂れた風情しか見られない通りだが、一軒だけ立派なパチンコ屋が建っている。これも場所柄やのう。

…で、このボトナム通りの一角に朝鮮総連新潟県本部の建物が未だに残っているのである。帰国事業や拉致問題といった出来事を経て半世紀以上、この建物はもはやもぬけの殻、廃墟同然になっていた。

全国にある総連施設については固定資産税の減免が行われていたが拉致問題で世論が厳しくなるや減免撤廃の声が高まりあちこちで施設への課税が始まった経緯があるが、どうやらこの新潟県本部の建物も課税されるようになり総連側が「減免撤廃で課税したのは違法ニダ」と最高裁まで争った結果敗訴したんですね。

拉致事件発覚後は銃弾が撃ち込まれたり(例によって犯人は捕まらない不思議な事件)色々物騒な事もあったようだが現在はシャッターも閉まったままでひと気も全くない。

何軒か総連がらみのビルが並んでいるがみんな廃墟かと見紛うばかりだ。東京九段にある総連本部ですら差し押さえられているのに、この団体も時代の波にいよいよ消えてしまいそうな勢いだ。

総連施設である事を示すハングルの銘板。この言語の読みづらさったらありゃしないのだが「祖国往来記念館」と書かれている。この新潟市で盛んだった帰国事業に因んだ施設である。

祖国往来記念館にあった掲示板コーナーには張り紙の一つも貼られて居なかった。もはや役目を終えた建物という事だろうか。ちなみに新潟市からの帰還船で北朝鮮に渡った在日朝鮮人は昭和59(1984)年の第187次帰国までの間に合計で約9万3千人。楽園を信じて渡ったものの、その後の事は…ご想像通りで。

この隣にあるのも総連関係かどうか不明だが軒並み廃墟化している。まあ何というか因縁めいたものを感じるよね。総連の建物ってみんなボロいけど。
北朝鮮船入国禁止となった後の新潟港国際旅客ターミナルだが、閉鎖されているのかして全く情報がない。北朝鮮の他にも韓国・束草やロシア・トロイツァ行きの国際航路もあったのだが今では廃止されているのだ。

その後、拉致被害者横田めぐみさんが姿を消した寄居浜という場所を見に行った。これもまた新潟市街地から近い、新潟縣護國神社近くの日本海だ。何にもない静かな海岸ですけどね。

拉致事件自体も昭和52(1977)年に遡り、かれこれ35年も前の話になる。未だに平和ボケの最中にある日本人だが、同じ日本の中で「日本海側」だというだけでも「密航を許すな」等の看板が海岸沿いのあちこちで見られたりするあたり危機感が違うものだと実感する。

大型タンカーが沖合に見える、その先には佐渡島がある。佐渡島もまた拉致被害者で日本に帰ってきた曽我夫妻が住んでいるし、柏崎市にも蓮池夫妻がいる。戦後長い間この新潟という土地と北朝鮮は強くはた迷惑な因縁で結ばれていたのだ。

さらに新潟の繁華街古町でもこんな横断幕が掛かっているのだ。「拉致被害者全員の早期帰国を!!」こういう光景は新潟に来ないと見る事が出来ない。今も新潟県民にとって拉致問題は意識の高い出来事なのである。

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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