九州最後の炭鉱・長崎市「池島」 – 閉山13年目、人口200人台の島の生活 (全3ページ)

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長崎の炭鉱町を知る機会を得たのはやはり超有名廃墟無人島の軍艦島こと端島の存在がまず最初なのだが、軍艦島だけが長崎の炭鉱町ではない。西彼杵半島の沖合、角力灘に浮かぶ「池島」という周囲4キロの小さな島もまた、炭鉱の島として栄えた場所だった。

ここは端島よりも歴史が浅く、炭鉱開発が行われたのは戦後になってからで、三井財閥系、三井松島産業の子会社である旧松島炭鉱株式会社が運営していた。昭和34(1959)年の出炭開始から平成13(2001)年の閉山まで、炭鉱町としての歴史は半世紀未満で終わった事になる。しかし池島の場合は閉山後13年が経過している現在でも、約200名の住民が炭鉱住宅などで変わらず暮らしているという違いがある。

長崎市 池島

この池島に渡る為には、池島行きのフェリーが出ている3ヶ所の港のうちのいずれかに行く事になる。これが大瀬戸、神浦(こうのうら)、佐世保の3ヶ所で、特に佐世保(新港桟橋)は町中にあるので一見行きやすそうだが、1日2本しか出ておらず悪天候時の欠航も多く非常に不便である。無難なのは本数の多い大瀬戸港か神浦港からのフェリーだ。池島の住所は市町村合併で長崎市の一部となっているが、旧外海町にあたる地域で、位置的には長崎市と佐世保市の中間あたりになる。

長崎市 池島

我々は大瀬戸港から池島に向かう事にした。この大瀬戸港って長崎市じゃなくて西海市なのね。大瀬戸港から出ている池島行きのフェリーは自動車の航送も出来るが、島の雰囲気を味わう為に車は大瀬戸港の近くにある観光客用有料駐車場に停めて行った方が良い。大瀬戸港10時台発のフェリーに乗ったのだが、見ての通り客は殆ど居ない。軍艦島クルーズと違って、全く観光客向けにはなっていないのは雰囲気の違いで分かる。島の住民が年々減り続け、フェリーも減便続きなのが現実だ。

長崎市 池島

大瀬戸港を出て片道30分で池島港にたどり着く。端島に近い外観だが、島の面積は圧倒的に池島の方が大きい。周囲4キロと1.2キロとではかなり違うな。炭鉱施設や住宅が沢山見えるには見えるのだが、端島のような密集ぶりではない。

長崎市 池島

池島港にフェリーが到着して客が下船を始めるのだが、客は我々を含めて数える程しか居ない、逆にこれから乗船する人を含めると10人程度か。それだけ過疎の島になっているという事か。最盛期には佐世保行きの船もバンバン出ていて、池島からの船があっちに着くと、四ヶ町商店街がその都度買い物客だらけになってたらしい。

長崎市 池島

ぽつぽつ地元のご老人がいる他は生活感も乏しい港の風景。池島の地名の由来となった「鏡ヶ池」が石炭積み出しの為に掘削されて作られたのがこの池島港だという。池島と言う割に島のどこにもそれっぽい池が見当たらないのはその為らしい。炭鉱町らしく港の真正面からいきなり団地群が何棟も並んで建っている。

長崎市 池島

人が消えた炭鉱町の港を占拠しているのは野良猫軍団だった。島の猫というのは本当に警戒心が薄い。どこ行っても呑気にゴロゴロしとる。

長崎市 池島

池島にはこうした感じの団地が大小50~60棟程度建っている。昭和40年代の最盛期には7500人もの人口が居たという島、2001年の閉山後は急激に人口減少が進んでいて、我々が訪れた2013年2月の時点では約220人にまで落ちてしまった。当然これだけ団地があっても空き家だらけという事になる。

長崎市 池島

しかしそんな島にもショッピングセンターがあるのだ(笑)団地の一階に入口がある「港ショッピングセンター」。実に渋い佇まいだ。過疎の島でもしっかり土地に根を下ろして人々の生活を支えている。

長崎市 池島

ショッピングセンターとは名乗っているが入居している店は「丸木ストアー」と「ひろせ酒店」の2軒だけである。この酒屋さんでは角打ちもやっててカウンターで飲めたりする事も出来る。数少なくなった池島の大衆酒場と呼べる場所か。おつまみは向かいの店で調達できるし便利そう。

長崎市 池島

昔はもう少し色々店が入っていたのではないかと思われるが、ひたすらガラーンとしている。寂しさを紛らわせるかのように貼りまくられたポスター群が印象的。

長崎市 池島

池島港を挟んだ向かい側に石炭積み出し施設がある。採れた石炭をここで船に積み込んで運んでいた訳だ。設備はまだ古びた感じでもなく、いつでも再稼働出来そうな感じにも見える。

長崎市 池島

しかし年月を重ねた炭鉱施設は草木が伸び始めてきて、徐々に自然に飲み込まれようとしている。九州最後の炭鉱として21世紀の始めまで生き続けたものの、それから10年以上経ってますからね。

長崎市 池島

そんな池島だが実は観光客の受け入れも積極的に行っている。しかもトロッコに乗って炭鉱内に実際に入って鉱山の仕組みを学んだり出来るという本格的なものだ。だが、足尾銅山とかのような観光化している所ではないので、全て事前予約制で日にちを決めなければならない。「池島炭鉱坑道体験ツアー(坑道さるく)」というのが用意されているので炭鉱の中に入りたい人は予約を入れましょう。

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九州最後の炭鉱・長崎市「池島」シリーズ

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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