映画「飢餓海峡」の風景、本州最北端の軍都!下北半島・むつ市「大湊」を訪ね歩く

青森県

存在自体が最果て感全開な青森県でもさらに最果ての土地が下北半島である。その島の形からまさかり半島とも呼ばれる。その下北半島の中心となる街がむつ市だ。

本州最北端の市となるむつ市の中心市街地は大湊と田名部の2ヶ所に分かれる。大湊は戦前から軍港として栄えてきた街で、現在も海上自衛隊の基地がある。

東北本線の野辺地駅から分岐する大湊線に乗り終点となる大湊駅で降りると、大湊の市街地が広がる。本州最果ての都市圏であり、青森市から車で2時間半、約100キロも離れていて、青森県内の他の都市とも生活圏が孤立している。

大湊駅から海上自衛隊基地に続く道は大湊のメインストリート、大湊駅前通り商店街になっている。さすがに最果ての商店街というだけあってどの店も殆ど開店休業状態で寂しい限りだ。

かつて商店だったであろうバラック小屋。冬には雪で閉ざされる土地でありながらこうした簡素なバラックは非常に目立つ。

赤と緑のペンキが塗られた板葺きの家屋。東京でもしこんな家を見つけた時にはスゲーと驚いてしまうだろうが、下北半島ではこうした家の存在はほぼデフォルトである。

商店街の一角にある洋服屋には手描きの自衛隊員が妙にリアルな看板が建つ。防衛庁共済組合指定自衛官制服。さすが、海軍の街として栄えてきただけの事はある。

店のガラスケースにも自衛官の制服が飾られているのだ。しかしこの店自体も半ば倉庫みたいな状態になっていて現役で商売しているようには見えない。

商店街の隙間から見える山は恐山山地の最高峰である釜臥山。5月の連休中でも頂上付近に残雪が見える。

大湊の町を歩くと至る所で湧き水が見られる。恐山山地からの伏流水はそのまま飲み水にしても問題ない。

雪国ならではの角度のきついトタン屋根が並ぶ最果ての住宅地。瓦屋根の家は殆ど見かける事はない。雪国で瓦屋根など、屋根が重いし雪かきもできない、つまりろくな事がないのである。

商店街の途中には廃店舗が多く見られるが、こちらは廃ガソリンスタンド。壁が真黄色である。民家の板葺きの壁といい、下北半島民はさぞ原色系がお好きなのかしら。

釜臥山がひかえる大湊の街の一角に、海軍時代に遊郭として栄えた一帯が現在も残っているという。今回大湊を訪れたのはその跡地を観察したかった為だ。

大湊駅からかれこれ1キロ近く歩いたむつ市大湊上町の一角。付近は既に寂れた住宅地でしかなくなっている。目の前には陸奥湾が広がっていた。

その住宅街のとある一軒の家。家主が長期間留守なのか、玄関口に貼られている注意書きがシュールである。ウイリヤムリイさんはどこに行ったのだろう。いたづらはいやづら。

向かいには古風な煉瓦造りの「傳法医院」。北国ならではの二重玄関である風除室が見られる。

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