鬼怒川温泉にあった幻の色街…赤線跡「花の町」とは何なのか

栃木県

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栃木県 日光市

さらにもう一軒、いかにもカフェー建築です的な佇まいの家屋が残る。ここなんか建物の上半分が朱塗りにされているド派手なツートンカラーである。一階部分の足回りも市松模様のタイルで飾られていてセンスが良い。

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先程の建物同様斜めに取り付けられた玄関ドアも、二度と開く様子は無さそうだ。玄関上のモダンな照明も良いアクセントになっている。どんな色の明かりを灯していたのだろう。やっぱり赤色ですか?

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玄関横の嵌め殺しの窓ガラス越しに、古いVSOPブランデーの瓶が置かれているのが見える。

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確かに現在も人が住んでいる民家も多いが、こうした怪しげな建物の多くは空き家になっているか、住んでいても生活感があまり感じられないものが殆どだ。何かの折に解体されたりするのも時間の問題である気がしてきた。

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もう一軒、「あずさ」と屋号の付いた元スナックっぽい建物が残っていた。ここも玄関付近がガラクタまみれだし、どう見ても現役の店ではない。建物裏側にはまだ生活の気配があり、実はこう見えてもまだ空き家ではない。

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ここに8時ちょうどにやってきても旅立つ事はできないようだ。っていうかネタ古すぎてすみませんでした。

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栃木県公安委員会による「カフエー」の鑑札もバッチリ残ってました。「エ」が大きいのは、オンキヨーとかキユーピーみたいなもんでしょうか。

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店の裏手に回ると、「あずさ」が現役だった頃に店の前に出していたと思われる古びたコカコーラのロゴのついた看板が置き去りにされていた。

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「花の町」という名称は今でも町内会に使われている。元々は赤線地帯の名前だったものを変えもせずに使うという例は少ない。みんなそういった歴史を隠したがるものだ。でもここでは「花の町子供会 誇れるまちづくり」と看板が置いてあって実に堂々としていて清々しい。

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元赤線地帯の街並みを抜けると目の前に現れるのが「鬼怒川温泉ロープウェイ」である。昭和35(1960)年10月に開業したものなので、花の町が現役だった頃には建設前だったという事になる。大人の怪しい観光地がファミリー向けの健全な観光地になったという訳か。頂上には「おさるの山」があり、ニホンザルが飼育されている動物園や展望台などがある。

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ロープウェイの入り口にも家族連れを当て込んだ小さな釣り堀が何軒かあって、昭和のレジャースポット的佇まいは今なお現役だ。来た時間が遅かったのかして、店も開いてなかった。

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向かいの釣り堀は既に商売をやめてしまったようで、生け簀の水が抜かれたままで雑草が伸びまくっていた。大型ホテルに泊まる客はわざわざこんな所まで遊びには来ないんでしょうかねえ。

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すぐ隣の赤線地帯は戦前から遊郭として存在していたのだろうか、そのへんの由来ははっきり分からなかったが、ロープウェイ乗り場と「花の町」との間には「藤原町護国神社」がある。旧藤原町から出征し戦没した人々を祀る。ちなみに境内に鬼怒川温泉神社もある。

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そろそろ日も暮れ掛かろうとする時間帯、中央分離帯に等間隔に据え付けられた街灯にぼちぼち明かりが灯り始める。一部の大型ホテル以外はことごとく過去の遺物として消沈気味にあるこの関東屈指の温泉地、その街並みは今後どう変わっていくのだろう。


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