タコライス生みの親・儀保松三氏が作り上げた鍾乳洞と盆栽庭園の私設博物館「ゴールドホール」が壮大過ぎる件

本島北部

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国頭郡 金武町

思いっきり鍾乳洞な空間を抜けて反対側に出ると、急に開けた斜面に出てきて風景がまるっきり変わる。その急斜面には荒々しい琉球石灰岩の上にこしらえられた庭園がこれでもかと広がっている。沖縄の金持ちはやることが違う!これは所謂探偵ナイトスクープ的なパラダイスのノリではなかろうか。

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なにせ急斜面なので庭園内は階段を行ったり来たりで動線がごっちゃごちゃになっている。そんな中を沢山の盆栽や植木や調度品が所狭しと置かれてあるので、一体これらのコレクションにいくら掛けたのかと考えると気が遠くなる。

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急斜面の庭園の向こうには遠目に東海岸や眼下の街並みが広がり、非常に眺めも良い。また斜面の上に足場を築いてオープンテラスやら盆栽展示場をいくつも作ってある、この念の入れよう。ベトナム戦争特需のバーの売り上げでどれだけ財を成したのか想像しそうになるが、昭和って改めて凄い時代だったんだなと感心させられる。

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そんな高台の上から東海岸を見下ろす自由の女神像。南向きなので別にアメリカ大陸を向いている訳ではないが、アメリカさんのお陰で財を成したという由縁があれば自由の女神像の一つくらい飾りたくなる気持ちも分からなくはない。

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斜面に沢山増設された展示スペースがあり、しかもここなんかこれ見よがしに三面ガラス張りになっていて、中にこれまた天然木の置物がびっしり置いてあるのだからいちいち凄い。南風原町出身の儀保松三氏が1960年代に金武町にやってきて40年余りの間でこれだけコレクションを集めたものらしい。

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下から庭園を見上げてみるとこんな感じ。壮大過ぎて開いた口が塞がりませんよ、儀保社長!ともかくこれほどの規模なので、社長のお宅訪問というよりもむしろ私設テーマパークといった感じで、バブルな社長の道楽ランドがこれでもかと楽しめる。

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それにしても、この先全く使われる見込みもなさそうなのに惜しげも無く置かれまくっている屋久杉か何か知らんが天然木一枚板のテーブルとかがわんさかあるのは、今の時代を生きる人間から見ると別世界の光景のように思えてならない。もしも屋久杉一枚板のテーブルだったら今では環境保護の為に伐採不可になっているし、このサイズで状態が良いものだと100万とかするもんでしょう。

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こんな巨大屋外庭園ですがちゃんと琉球瓦とシーサーがいたりするのが沖縄らしい感じがします。

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うかうかしていると中で迷子になる可能性もあるので気をつけましょう。やはり入場料800円がネックとなっているのか来客は我々くらいで、普段から収益が取れてるのか傍から疑問に思ったりもするのだが、まあ恐らくそのへんの心配は不要なのでしょうな。

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そんな凄まじい庭園スペースを抜けるとそこでようやく「ぼんさいカフェ」の副題の通り、広大な盆栽展示場があり、儀保社長一族が手塩に掛けて育てた盆栽の数々を眺める事ができる。沖縄の盆栽は本土のものとやっぱり違うのかと思ったけど、あんまり見た目には変わらんですね…

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そしてようやく最後の最後で現れたのは…人ん家の玄関ですか?と勘違いしそうになるエントランス。この中も沢山の調度品が展示されていて最後まで社長の道楽ワールドを満喫出来る。元々ここに儀保松三社長がお住まいになられていたそうで、2008年に別の場所にお引っ越しされてこの「ゴールドホール」の展示スペースの一部になったという流れ。

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ひたすらこのような「昭和のお金持ちの家にありそうな調度品」にまみれた光景が見られる場所も考えてみれば珍しいと思う訳で、これを私設博物館として一般から入場料を取って公開するという発想もユニークである。全国各地、社長の道楽で生まれた奇跡のパラダイスは多数あれど、沖縄本島にあるその手の場所としては屈指の規模を誇る施設だと思う。

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現在このゴールドホールを運営しているのは儀保松三氏の孫の代に当たる方らしいが、祖父が築き上げた「夢の結晶」をどう生かしていくべきか、試行錯誤の最中だという。んまあ…使い道に困りますわな…ン十万どころかン百万円も掛けた豪華な置き物ばっかり置かれても、どないせえっちゅうねんって話で。

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そんな元邸宅の壁に額入りで掲げられた「沖縄Aサイン連合会」の証書。琉球政府時代に米軍側の厳しい衛生基準をクリアーし認められた店舗にのみ与えられる証書である。儀保氏はAサインバーで米軍相手に大儲けした訳で、よく左巻きのメディアが喧伝するような、米軍に虐げられた沖縄みたいなイメージも一方的なものでしかないなと、軍用地主の件といい、こういうのを見る度に思う訳ですがね。

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鍾乳洞から始まり、屋外崖っぷち庭園、盆栽コーナー、社長のお宅拝見、と一周回ってやっとのことで喫茶店に戻ってきた。小一時間くらい過ごしたが、結局我々以外の来客はなく、このだだっ広い空間をほぼ独占できるのは、ある意味凄い贅沢な経験である。

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ゴールドホールの喫茶店スペースもかなり広々としている。やはり同様に儀保松三氏がコレクションした豪勢な彫刻の数々やごつい天然石のテーブルなんぞが惜しげも無く置かれているのでゴージャス感が半端無いんですが、そんな空間を事実上独占出来ております。金武町の隠れたオアシスであると言えなくもない。

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フード系メニューも、キングタコスの系列店という事もあって、キングタコス金武本店やパーラー千里同様に「タコライスチーズ野菜」が注文可能なのだが、昼飯にパーラー千里で食ったばかりなので、BLTをオーダーして食いました。こういうゴージャスな空間には不釣り合いな感じがしなくもないが、いずれにしても独特な店だった。

なお、タコライス生みの親である儀保松三氏は2014年12月11日に逝去。享年85歳。現在キングタコスグループは沖縄本島に7店舗を構える有名店として営業中。


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