東日本大震災の津波で壊滅した石巻市門脇地区

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途方も無い被害をもたらした東日本大震災から1年半近くが過ぎようとしているが被災地以外では津波の被害や原発事故といった出来事の記憶も薄れつつある。
まあ人間という生き物は基本生活圏半径数メートルの外側には興味を示さない生き物なのでそれも定めなのかも知れんが、我々日本DEEP案内取材班もこの目で被災地がどのような状況になっているか確かめておくべきだと過去に何度か津波で壊滅した地域に足を運んできた。

最も激しい被害を受けた街として何度も名に挙がった宮城県石巻市。仙台に次ぐ宮城県第二の都市だが、中心市街地の中まで容赦なく津波が襲来した。海沿いの門脇(かどのわき)地区は区画にあった建物の殆どが流され、その後の火災もあって壊滅状態となった。



門脇地区は石巻駅や中心市街地にも程近い事もあって過去に二度訪れている。最初が震災4ヶ月後の2011年7月。この時期はまだ焼け残った建物や大量のガレキが片付けきれておらず復旧工事やボランティア団体などが街のあちこちに居た。

地震と津波、とどめに火災が来て、丈夫なはずの鉄筋コンクリート建築物も完膚なきまでに破壊され尽くしていた。これらの建物は順次解体され現存していない。津波で流された車両から漏れ出たガソリンが何かの拍子で発火、焼け野原のような姿になったのはそのためである。

門脇地区には広大な敷地を誇る日本製紙石巻工場がある。住宅地に面した工場の高い防護ネットの柱が津波の力でもろともなぎ倒されている。これも現在は解体されて無くなっている。

日本製紙工場脇の県道。津波で流された衣類等の大量の家財道具がガードレールに巻き付いている。ここまでが2011年7月の状況。

2012年7月に再訪すると門脇地区の瓦礫や倒壊家屋はかなり片付けられていたがまだまだ放置状態のものも目立つ。網地島ライン乗り場に近い石巻市立病院前。1階が根こそぎやられて2階部分だけになった家屋が手前にある。周囲は地盤沈下で海面が現れ部分的に水没している。石巻市立病院も被災しており現在は仮設住宅の並ぶ開成地区に仮診療所を開設、2016年の再開を目指しているとの事。

中心市街地はかなり息を吹き返してきたものの、街ごと壊滅した門脇地区に限っては復旧もままならない。再びこの土地が住宅街として戻る事は今後無いかも知れない。

辛うじて2階部分が綺麗に残っている建物はあっても1階部分が骨組みだけになっていたり、2階部分も滅茶苦茶に破壊されている。

がらんどうの建物だけが残っている石巻市営南浜町住宅。解体されないまままるでオブジェのように佇んでいて遠目にも目立って見える。住宅の手前は地盤沈下で海水が入り込み水没したままだ。

2011年3月11日を境にこの街は時を止めた。今歩いている門脇町、南浜町だけで犠牲者の数は300~400とも報じられている。まだ行方不明者もいて時折遺体が発見される事もあるという。

海岸沿いの雲雀野町一帯は一面が被災車両置き場になっている。一体どれだけの車がスクラップになってしまったのか数えようがない程の量である。元の形状も分からない程破壊されたものもあれば、比較的形状を保っているものは3段にも4段にも積まれている。

石巻市立門脇小学校。高台がすぐ背後に迫っているが海岸の低地にあるため津波被害に遭い三階建ての校舎は全壊。火災にも遭い焼け焦げた跡が生々しく残る。

高さ7メートル近い津波は校舎の3階にまで及んだらしく窓ガラスが殆ど外れている。震災の日、児童の7割が犠牲となった大川小学校とは対照的に避難行動がスムーズに取れた事で生徒はほぼ全員無事だったらしい。大晦日の紅白歌合戦で長渕剛がこの学校の校庭に立って一曲歌ってたようです。

長渕が歌いに来る程、この門脇地区は石巻市における被災地のシンボル的存在にもなっている。地区の中央には献花台を備えた一角がある。「がんばろう!石巻」と大きく書かれた看板、アスファルトには「復興するぞ!」と被災住民の強い意志を示している。

この場所には犠牲者を弔う花束が尽きる事はない。ひっきりなしに地元民やボランティア、様々な人が訪れ思いを巡らせながらこの場所で手を合わせていく。

もともとこの土地は水回りの内装業者の敷地となっていたらしく、津波で流された建物の柱だけが残され、高さ6.9メートルの位置まで津波が襲った事を示していた。

傍らには被災家屋の木片を集め灯したという種火が静かに灯っていた。ここが人々の鎮魂の場となっている。
地元住民に復興の意志があれば何度でも街は蘇るだろう。ただ、街が元通りになるには10年単位の時間が必要な事は見ていて率直に感じた。それだけ津波の力は強く惨い。

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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