群馬を代表する大温泉街「伊香保温泉」を歩く・2009年版 

群馬県

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日本最初の温泉街として開発された群馬県の伊香保温泉へ静養に来た。少々寂れた感は否めないがそれがまた適度に良い雰囲気を放っている。石段街の途中から引き続きレポートを続けよう。

石段を登っていくと所々ガラス窓になっている場所から温泉が滝のように流れている様を見る事ができる。この先に源泉が存在している。

温泉街に出向くと必ずと言っていいほど存在する「温泉まんじゅう」は伊香保が発祥の地だと主張している。「温泉の蒸気を使った饅頭」という説と、単なる「温泉街で売られている饅頭」という説もあり、実は後者が有力。しかも本当に伊香保が元祖なのかという証拠すらなかったりするので案外テキトーなのかも知れない。

伊香保の湯をイメージした茶褐色の「湯の花饅頭」の生地には湯の花ではなく黒糖などが使われている。細かい事は気にするな。結構うまいし。

写真は伊香保で2番目に創業した老舗の温泉饅頭「田中屋」。

石段街は上に登るにつれて道幅が狭まっていく。連休のさなかに来たにも関わらずそれほどの人出もなく意外に静かである。

石段を登りきった先は伊香保神社の境内となっている。創建825(天長2)年の古刹。

貫前神社、赤城神社に次ぐ上野国三之宮として群馬県民にはよく知られている。

本殿の横から絵馬が並べられている。これみよがしなハート型の絵が描かれた縁結びの絵馬である。伊香保神社は子宝と縁結びのご利益がある。カップルで狙って来るならつまりそういう意味だということだ。もし貴方が独り身でも伊香保では楽しく過ごせる手段が色々あるがそれは後ほど教える。

伊香保神社の横からさらに坂道を伝って奥へ伸びる道がある。まだ土産物屋がぽつぽつあったり、もう一つの伊香保名物である「山椒せんべい」が作られている店もある。爺さんが一人でこつこつ焼いてました。しかしここまで来ると廃墟っぷりが凄い。

ふと後ろを振り返ると、我々が来た方向から下に分岐している道路が通行止めになっている。その先には旅館の廃墟が…

仲良く二軒並んだ旅館の廃墟はもう何十年も放置されたままのような状態だ。この廃墟から崩落してくる瓦礫の影響で道路が通行止めになっていたのだ。

窓と言う窓がほとんどスッポリ抜け落ちていて見るからに危険である。昭和の古き日本的サラリーマン的文化である慰安旅行の習慣があった頃はさぞかしこのへんの温泉旅館も濡れ手に粟であったろうが終身雇用制度崩壊や何やらで時代が変わってしまったら、たちまちこの通りだ。

いよいよ建物の根幹部分が危うくなっているのだろうか、建物内には支柱と思われる構造物が等間隔に立てかけられている。この旅館の運営元はともかく行政サイドでも解体費用も捻出できないほど懐事情がきついのだろうか。

温泉街の栄枯盛衰を目の当たりにしたといったところだが、なおさら「100年に一度の大不況」とか騒がれる程景気が悪くなってしまっている。いずれ石段街までこんな状態になってしまうかも知れず温泉街の危機である。

ようやく西の空に日が落ち始めると廃墟の旅館が赤く染まりだした。榛名山中腹の森の中に築かれた日本屈指の温泉街。夜はこれからである。

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