ふるさと創生事業で作られた謎の中国庭園「大門碑林公園」

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世の中変わり者とも呼ばれる方々が独断と偏見に満ちた私設テーマパーク(ナイトスクープ的に言うところのパラダイス)を作ってしまう事はよくあれど、それは個人の理想世界と表現の発動であり第三者が見るだけでも面白いものである。しかしこれが自治体ぐるみになると途端にズッコケ感満載の白けた施設になってしまい「何しにこんな税金の無駄遣いしてるの」と非難されてしまったりする。

そんな施設が首都圏にも程近い山梨県の市川三郷町という場所にあるというので見にやってきた。山梨県は合併自治体だらけで地名だけだとどの場所なのか把握しづらいのだが、甲府市の南側に位置する市川大門町が他の2町と対等合併して生まれた新しい自治体になる。この市川大門の街外れにある「大門碑林公園」なる施設を訪れた。

この公園、なぜか山梨なのに中国式庭園をモチーフにして作られている。それも随分金を掛けて立派に作られているので何事かと思うのだが、地元の旧市川大門町が書道用品の和紙の生産地である事に因んで、中国の西安碑林やら曲阜碑林の名碑を集めた施設だという。書道関係者じゃないのでようわからんですが。

この施設、あの竹下登内閣時代の悪名高き税金バラマキ政策「ふるさと創生事業」の資金1億円を元に計画されたのだがあれこれ豪華に作りすぎたもので大幅に予算オーバーして総事業費に13億円掛かったらしい。

ふるさと創生事業は全国にアホな珍スポットを乱造させるきっかけとなったので我々としては楽しんで見ているが、大門碑林公園は「税金の無駄遣い」だと随分民放テレビで叩かれたりもしてきた。

常々閑古鳥が鳴いていてアホみたいだという話を聞いていたのだが実際現場に来ると結構な数の車が駐車場に止まっていて、どうも変だなと思っていたのだが、大門碑林公園の内部ではなく向かいにある「ひらしお源氏の館」の利用者だった。ここは多目的ホールとして使われている。

公園の入口にはもっともらしく「手づくり郷土賞」のプレートが掛かっていて、建設大臣の名前が書かれていた。ああいつもの土建国家ニッポンである。「平成七年七月」の日付が入っているが、施設自体はその前年である1994年3月に完成している。恐らく計画段階でバブル絶頂期だったものと思われる。

…で、肝心の公園内部はどうなっているかというと…人が全く居ない。何故なら1人600円の入場料を徴収されるからだ。ここで物珍しさから来た観光客の半数が踵を返して車に戻っているだろう。

当然我々はネタの為の出費も惜しまず600円払って中を見ようとする。受付にいたやる気のないオバサンに「本当に入るんですか?石碑があるだけですよ?」などと念を押されてしまう。こんなにやる気のない応対をされたのは初めてである。

オバサンも常々分かっているのだろう。600円払って見る価値があるのは辛うじて書道関係者くらいのものだろうと。入口付近から既に訳の分からない石像が並んでいる。中国の縁起物に因んだ亀の石像でしょうかね。

有料ゾーンに入るとすぐ右手の建物が書道用具を豪華に取り揃えた「文房四寶館」。その奥から中国庭園らしきあずま屋が見える。殊の外中は広いようだが人影はない。

確かに受付のオバサンに言われた通り、公園の山肌に石碑がぽつんと置かれただけのあずま屋があちこちに建っているだけという状況。公園というからにはリア充な親子連れが遊んでいても悪くはないだろうが、まず遊べそうな雰囲気じゃない。

さも大事そうに置かれた石碑はその意味を理解するのに高度な知識を必要とするであろう。書道関係者の方、意味わかりますか?取材班は誰一人として理解できませんでした。

まあ石碑があるだけじゃ意味がわからんだろうと言う観光客に向けて日本語、英語、中国語とわざわざ三ヶ国語の音声ガイドまで付いているという凝りようなのであるが、外国人がこんな辺鄙で微妙な公園に来るとは思えない。

さすがに贅の限りを尽くした公園らしく庭園部分の作りは本場中国の雰囲気そのままに再現されている。600円払ってこの景色を独占出来ると思えばあながち悪くもないと思うのだがどうだろう。

朱色の塀に開けられた丸い穴から甲府盆地を望む。税金の無駄遣いか知らんが眺めだけは非常に良い。一応雰囲気もあるのでコスプレイヤーやドラマのロケ地には重宝がられている。

そこからさらに階段を登っていく。まだまだ先にも石碑や何やらがあるらしい。

急な階段は苦手だという爺さん婆さんの為に、きんさんぎんさんも登ったという長寿坂がございますよ。随分懐かしいネタだな。

長寿坂というか普通に作業車の通り道みたいな所なんですけどね…きんさんぎんさんももしご存命であれば120歳である。遠い昔の出来事みたいだ。

どんどん公園の奥へ入っていくもお客どころか草刈りのオッサンも居ないという状態。確かに閑古鳥鳴きっぱなしですな。あ、水飲み場にコアラがいますよ。塗装が剥げてるけど。

一番奥の頂上展望台がある場所まで登ってみたけどやっぱりそこにも石碑しか置いてませんでした。ちゃんちゃん。こりゃ一般の観光客だったらガッカリして600円返せと言わんばかりのテンションであろう。入口でオバサンが念を押していた意味が分かった。

このオバサンが親切で色々大門碑林公園の事情を教えてくれた。当初は町営施設だったが経営難で現在は民間の業務委託に切り替えている事、書道関係者の集団視察がたまにあるという事を聞いた。

つまり全くの無駄な箱物という訳でもなさそうだが、わざわざ存在意義を感じる程のものとも感じない。相変わらず赤字続きで町政のお荷物になっているようだし、そのうち閉鎖されない事を祈るのみ。

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↑中国に大人気の蒼井そら主演。このドラマのロケ地に大門碑林公園が使われてるらしい。

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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