憂鬱な廃鉱山町・栗原市「細倉鉱山」でホソキュリアンに生まれ変わってきた

宮城県

宮城県北西部にある栗原市。仙台から東北道を使って片道1時間少々の所にある岩手県境に接する街である。2005年に旧栗原郡全域が合併して新設された市で、2011年3月の東日本大震災での被害に加えて、2008年6月に起きた岩手・宮城内陸地震で大規模な地滑りで山が崩れたり大変な被害を受けてきた土地でもある。

栗原市の奥地に旧鶯沢町があり、ここには仙台藩時代からの歴史を誇り(9世紀に発見され1200年もの歴史があるとの説も)、かつて鉛や亜鉛等を産出し昭和62(1987)年に閉山するまで岐阜県の神岡鉱山と並ぶ大規模な鉛鉱山だった「細倉鉱山」という場所がある。

宮城県 栗原市

ここにも「炭鉱から観光へ」の夕張やら足尾銅山あたりのノリで坑道を観光用に開放している「細倉マインパーク」という施設があって珍スポ愛好家には超有名。しかし本来は元々の予定では細倉鉱山に来る事もなく、東北道若柳金成インター近くの大林寺にある「安重根記念碑」を見るだけのつもりでやってきたが、天候不良が災いして雨でもしっとり楽しめる珍スポ巡り&鉱山町探訪と相成った次第。

なお、この「細倉マインパーク」は大規模リニューアルの為2015年11月1日~2016年6月30日まで長期休業予定であると栗原市HPでアナウンスされていて、リニューアルオープンは来年7月以降となるらしい。よって当方も急遽細倉鉱山レポをここに書き記す事にした。

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旧鶯沢町へは東北道で宮城県最北部にある「若柳金成インターチェンジ」から片道約25分18キロ。2005年に合併するまでは旧鉱山町周辺を町域に有する栗原郡鶯沢町という人口3千人余りの街だった。早速「赤旗」全開な廃屋と看板が現れて香ばしさフルスロットルな感じで始まりましたが、こういう主要産業が潰えてどうしようもなく寂れた街に来るとテンション上がりますね。

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憂鬱な春の冷たい雨が降り注ぐ鉱山町へぽつりとやって参りました我々取材班。旧鶯沢町の中心市街地にある「くりはら田園鉄道」の細倉マインパーク前駅の建物前に辿り着く。この駅も元々は細倉駅という名称だったが1990年に開業した細倉マインパークに合わせ観光資源アピールの為この駅名になっている。「くりでん」と呼ばれたローカル鉄道の終着駅でもあったが、既に路線廃止後廃駅となって5年以上が経過している。

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大正10(1921)年に開通し、昭和17(1942)年に細倉鉱山の鉱石運搬のため細倉鉱山駅(廃止)まで延長、閉山とそれに伴う過疎化で収益が厳しくなり1995年に第三セクター化したものの2010年に鉄道事業が廃止。駅舎だけが寂しく残されている。この辺の経緯は神岡鉄道が走っていた岐阜県の神岡鉱山と被る。

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もはや鉄道の旅でも辿りつけなくなった旧鶯沢町、細倉マインパーク以外は何があるのかなと観光マップらしき看板があるので見物。んー、他にも見所があるような無いような…鶯沢町はみのもんたの実父の出身地で、みのもんた本人が「みやぎ夢大使」を務めた事があるというネタは公式には黒歴史なのだろうか。

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そう言えば映画で「東京タワー~おかんとボクと、時々オトン~」(2007年)のロケが行われた「旧佐野社宅」がこの辺にあったらしいんですが…もう跡形も無くなってますね。この辺がちょうど映画のシーンでメインに登場していた「野田雑貨店」の辺りになります。まっさらの更地です。無念…

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あの映画では「筑豊の炭鉱住宅」という設定になっているのだが、元々解体予定だったこの細倉鉱山の炭鉱住宅でロケをやる事になって、映画公開後はしばらく観光客が「ロケ地探訪」する事もあったそうで、観光資源としてしばらくは保存されていたのだが、2011年の東日本大震災で被災して修理費用も捻出できずやむなく解体したのだとか。自治体にお金がないと観光資源もろくに守れないという現実を思い知らされる。地震に加えて豪雪地帯という事もある。そりゃ厳しいだろう。

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古い細倉鉱山の地図も見ながら旧鉱山町のあちこちを見て回ったが、このようなベタな佇まいの炭鉱住宅も随分と数が減っているし、鉱山町にありがちな「朝鮮人飯場」に加え、戦時中にあったという「連合軍捕虜収容所」(仙台捕虜収容所分所)などの香ばしげな施設も殆どが解体され無くなっていた。

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鉱山自体はとっくに閉山したものの、今でもこの土地には三菱マテリアル子会社「細倉金属鉱業」の工場が現在も稼働を続けている。ここでは鉛を扱っていたノウハウを活かして自動車の廃バッテリーの再生事業などを手掛けているという。しっかり時代の流れに沿った役割を持っている訳ですな。

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そんな細倉金属鉱業の工場真向かいにある「細倉鉱山資料館」。栗原市が運営する施設だが、相当古びたコンクリート建築だ。ここでは細倉マインパーク開業前から細倉鉱山についての歴史やジオラマ等を様々展示している。入場料は200円。休日なのに他に客はおらず、暇そうに管理人室で寝転んでいたおじさんが慌てて出てきて、我々の為だけにビデオテープやガスストーブの準備をしてくれた。

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細倉鉱山の何たるかを知る為の肝心要の施設だけの事はあって、鉛や亜鉛の世界分布や何やらに詳しくなれる展示も割と綺麗に保存されているのだが、掲示されているデータや映像室で見られる細倉鉱山のビデオ映像が概ね1970~80年代のままになっているのはご愛嬌である。

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珍スポ好きが何とかの一つ覚えのように細倉マインパークに行ってアレヤバイコレヤバイとかワーワーキャーキャー言うだけの事ならディズニーランドとかに行くリア充一般ピープルと何の変わりもないのである。やはり鉱山町特有の重苦しい街並みと歴史を知ってこそ遠路はるばるここまで来る価値があるのでは。そう言いつつ我々も例の「細倉マインパーク」にこれから行くんですが…

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