朽ちゆく「おちょろ舟」の里、大崎上島町・木江天満遊郭跡を訪ねる (全2ページ)

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安芸の小京都などと呼ばれる竹原市の竹原港からフェリーに乗って対岸の大崎上島に渡る。芸予諸島の一つに数えられる離島で、しまなみ海道やとびしま海道などと呼ばれる道で繋がる島々とは違い、本州から陸路で繋がっている橋がないので、フェリーで来るしかない。人口は約8000人、主な産業は造船とミカンの栽培、高度経済成長期の1970年と比べると、島の人口は半分以下だ。島内は東野町、大崎町、木江町の一島三町だったが、2003年に合併して豊田郡大崎上島町になっている。

大崎上島町

竹原港を出たフェリーは片道30分程で大崎上島の北部にある垂水港に辿り着いた。橋が無い大崎上島へはフェリーの便が多彩にあって、竹原、安芸津、大崎下島、愛媛県側の大三島から渡る事が出来る。橋で繋がっていない離島としては大崎上島が瀬戸内海最大の島という事らしい。今回は島の南東部にある木江港近くの「天満遊郭跡」を見に行くのが最大の目的だ。風待ち港の遊里として栄えたという歴史は三重県の渡鹿野島などと通ずるものがある。

大崎上島町 徳森食堂

ひとまず島に来るまで飯もまともに食ってなかったので、大崎上島では有名どころの「徳森食堂」に駆け込んでチャーシュー麺を喰らう事にした。映画「東京家族」(リメイク版)で大崎上島がロケ地だったとかで、どうやら山田洋次監督もここで喰ってたらしい。知らんかったけど。

大崎上島町 木江遊郭

腹を満たした後に目的地である木江港へ向かう。木江港にある「徳森旅館」は築79年、昔の佇まいを残す3階建ての立派な旅館。さっきのラーメン屋も徳森さんだったが、この地方では徳森姓が多いのか。建物の老朽化もあって2004年に廃業してしまい空き家同然になっていた。今年8月に建物の解体が決まり、この港から姿を消す事になった。

大崎上島町 木江遊郭

この徳森旅館が何より絵になるのは海側からの眺め、港の船着場に旅館の建物が直接面している。風待ち港として栄えた木江港の栄華を偲ばせる歴史ある旅館が呆気無く取り壊されるというのは、この地域にとって大きな観光資源の喪失ではなかろうか。実に勿体無い。地盤の弱い海沿いにあって建物に傾きがあったり高潮被害を受けたりもしていたようだが、どうにか保存出来なかったのでしょうかね。

大崎上島町 木江遊郭

徳森旅館や厳島神社がある旧木江町の中心から大三島行きフェリーが発着している天満港方面へ歩いていく。さらにそれを越えた辺りの一角が「天満遊郭跡」らしい。海岸沿いの道を歩いていても通り過ぎてしまうだけで、肝心の遊郭跡は内陸側の旧道にあった。南側から回りこむ形で入る事になる。

大崎上島町 木江遊郭

路地の傍らには「古い街並み」と書かれた案内看板が建っていた。まあ一般的な観念からして書かないんでしょうが、どこにも「遊郭」の二文字など見当たらない。九州から京阪神間まで、瀬戸内海を行き来する船乗り達が立ち寄って、さぞ賑やかだっただろう。

大崎上島町 木江遊郭

案内看板にある通り、確かに「古い街並み」だ。個人の家としては少しサイズがでかい立派な家屋が何軒も惜しげも無く並んでいるが、皆一様に生活感がない。つまり空き家だらけなのである。

大崎上島町 木江遊郭

高台上に見える三階建ての家屋もかつては旅館だったような感じの佇まいが残る。ここは窓から布団とか干してあるしまだ人が住んでますね。

大崎上島町 木江遊郭

遊郭跡のメインストリートに差し掛かると道幅も狭くなる一方でこんなご立派な三階楼まで現れるという廃テンションぶりに頭が早くも沸騰しだしました。何の商売をやったらこんな立派なお宅が出来るのでしょうか。凄いですね。当時の造船技術も高かったので、これだけの木造建築がバンバン建てられたのであろう。木江には五階建ての木造家屋もあるらしい。どんだけやねん。

大崎上島町 木江遊郭

気になる三階建て家屋の玄関口には殆ど字が掠れて読めないが「一寸一杯 中華そば うどん 寿し 松野屋」と書かれているかつての大衆食堂の看板があった。 豪華過ぎる大衆食堂。遊客で賑わっていたのか。

大崎上島町 木江遊郭

隣の家屋も元雑貨屋か食料品店らしく、「月星 EXPO’70セール」などと書かれたステッカーが貼り付けられたままになっていたり、コカコーラのブリキ看板が色褪せたまま貼り付けてあった。もし店が開いていたなら、地元のガキンチョの溜まり場になっている駄菓子屋のような佇まいだ。

大崎上島町 木江遊郭

そんな「松野屋」と隣の店舗との間からそそられる路地裏への入口がある。足元には苔むした石造りの貯水槽。自然と足が向いてしまう。

大崎上島町 木江遊郭

さらに気になる路地に入るとそこにも元店舗だった廃屋が…凄まじいゴーストタウンぶりである。離島なので余計にそうなってしまうのかも知れないが、手前の家の跡なんか完全に崩れ落ちてて辛うじて洗面台だけが残ってるし…奥の店は「フジカラー友の会」と書かれた看板が置きっぱなしになっているし、恐らく写真屋だったのではないかと。

大崎上島町 木江遊郭

これもかつての妓楼なのか、何とか建物の形を留めてはいるが、手すりや屋根瓦、土壁の風化が激しく、いつ崩れるか分からない。

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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