戦後の闇市時代から生き続けてきた広島駅前「愛友市場」が再開発で消えた (全3ページ)

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<注意>当ページの写真は2011年10月訪問時のものです。広島駅前「愛友市場」は再開発に伴う解体工事に伴い2013年11月から殆どの店舗が立ち退いており、目印だった大看板も取り外されてしまいました。2016年に地上47階建ての超高層住居棟を備えた複合施設が完成する予定らしいです。

平和都市ヒロシマ。世界で唯一の被曝国家、過ちは繰り返しませぬから、と毎年8月にこの国では重い贖罪の言葉が連なる。一億総懺悔、敗戦の傷、人類史上初めて原子爆弾が落とされた街…

我々取材班は山陽新幹線に乗って広島駅に辿り着いていた。広島に来て見たかった街並みが色々とあったのだ。日本のどの都市でも「戦後」という要素は街並みの変遷に大きな影響をもたらしているが、それが「原爆が落とされた」という特殊な経験を経た広島にとっては、殊更その傾向が強まるからだ。

ともかく東京からの長い移動で腹が減ったので駅ビル構内で飯を食おうと思ったが見事にお好み焼き屋しかなくて笑ってしまった。お好み焼きは広島風か大阪風かと議題に上がる事が多いがお好み焼きに関しては広島人の方が思い入れが強いようだ。

腹ごしらえも終えた所で街並み拝見。広島駅から広島市の中心市街地へ行くには広電の路面電車に乗る事になるが、まず見ておきたいのが広島駅周辺にある「戦後のドサクサ」的物件。

駅前ロータリーから左側に目をやるとやたらと雑居ビルが並ぶゴチャゴチャした一画がある。これがまず最初の広島名物戦後のドサクサ物件「広島駅前市場」の入口にあたる。パチンコ屋だの金券ショップだのある辺りがいかにもドサクサって感じ。

この駅前市場へ行く側のビルにこんな看板が立っておりますよ。「カープロード入口」だと。まるで阪神尼崎駅前の商店街が阪神タイガース丸出しな展開のごとく広島駅前はカープカラー一色。

広島東洋カープのお膝元、移転してきた広島市民球場改めマツダスタジアムがこの先にあって、途中の道路がカープロードと呼ばれているらしい。のっけから雑然とした街並みが現れる。

線路沿いのカープロードを歩くと市場の生鮮食料品店に紛れてカープグッズ専門店なんかがあったりしていかにも野球一色な感じ。広島ってひたすらカープとお好み焼きばっかりです。

グッズ店の店先には広島市民球場の注意書き看板が(笑)当方スポーツ関係はてんで疎いですがカープが好きだという熱さは伝わりますよ。

他にもラーメン屋とか飲食店もあるけどことごとくカープファン向けであります。

カープロードはさておき駅前からの道に戻ると右側が軒並み市場の雑居ビルが密集する独特の風景になる。もちろんこの市場は戦後の闇市を起源としている。っていうか見るからに分かりやす過ぎて説明の必要もないな。

「心の通う 買物横丁 愛友市場」と書かれた看板。荒神町の町名から「荒神市場」とも呼ばれていたが20年くらい前に名を改めて今では「愛友市場」と呼ばれている。別に荒神市場のままでもいいのではないかと思うが釜ヶ崎があいりんに変わるかのような感覚なのかしらね。ちなみにこの愛友市場や隣接する猿猴橋市場など一帯をひっくるめて広島駅前市場と呼ぶ。

終戦後原爆によって中心市街地がことごとく壊滅した広島市街だったがその翌年の正月から駅前に闇市が立っていた。現在も雑多な風情そのままに日用品店や食料品店の数々が軒を連ねる。ただ買い物客で賑わっているという訳ではない。なんだか寂れ気味。

それもそのはず、現在この地区は広島駅南口の再開発計画のエリア(Cブロック)に入っていて近々取り壊される可能性があるからだ。戦後65年の年月は闇市の活気もどこへやら、閉店した店舗の残骸が所々荒廃して、何とも寂寥感たっぷりの風景を生み出している。

どうせ再開発計画なんかろくなものじゃないだろうと思っていたが案の定タワーマンションとか複合商業施設を建てるらしい。しかし愛友市場はそこらの駅前ドサクサ横丁とは違う戦後の街並み遺産である。原爆を落とされてもなんぼのもんじゃいと街を立て直した当時の広島市民の気概を肌で感じる事の出来る貴重な場所なのだ。

で、駅前という立地条件もあって再開発計画がありながらも結構な数の飲食店が市場の中にある。古びた雑居ビルの谷間には野球観戦帰りのオッサン達を暖かく受け入れる居酒屋も豊富。

よーく見ているとやはり闇市発祥というだけあって焼肉屋とか韓国料理店が多いです。これも戦後のドサクサ的要素の一つであります。

夜ともなると市場というよりは赤提灯横丁となる愛友市場…というか「愛友横丁」という看板が掛かってますね。

一見さんな観光客には少し近寄りがたいが雰囲気がいい。お好み焼きと韓国料理、さあ今日の酒の肴はどっちにしようかな。

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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