名鉄東岡崎駅「岡ビル百貨店」がレトロ過ぎる件 

愛知県

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日本の一般的なステーションデパートメントの特徴として展望の良い最上階というのは家族でくつろげるレストランがあるもの。だが階段を登り切ったその先にあるのは、がらーんとフロアまるごともぬけの殻となった空虚なスペースだけであった。

えー、ここで我々は何をしろと言うのですか…既に3階部分は駅ビルの解体を前提としてか入居テナントの殆どが撤退済みなのであった。まるで東京目白駅前のコマースビル(解体)みたいな事になってるな。いつ頃からこうなったのか知らんけどさ。

そんな寂しい3階に一軒だけ孤軍奮闘している「お食事処」というのがさっき駅の外からも見えた「キッチンこも」である。3階の一角に控えめに店を構えている「岡ビル百貨店」の生き字引的な存在。

何故か店の玄関から10メートルくらい離れた場所にぽつんと置かれた食品サンプルとおすすめメニューの札。事実上この一店舗だけなので3階の余ったスペースは「キッチンこも」の独壇場といった所か。

丁寧な手書きが昭和感を誘うメニューの数々。カニコロッケライス、タラコスパゲッティ、エビフライ入りハヤシライスにハンバーグライス。価格設定は700円以下と至って庶民的。

これまた懐かしい佇まいの「キッチンこも」の玄関。ここだけ時間軸がズレてしまったかのようだ。「スパゲッチ マカロニの店」と書かれているのがまたウケる。

今回は残念ながらこの店に入る前に食事を済ませてしまい、中でくつろげる時間の余裕が無かった。なんじゃそりゃなオチですが…店が無くなる前に、近いうちになんとか再訪したいですね。

もう片方の階段もやはりどこかで見た事のあるウサギさんがいる。キャラのチョイスはギブミーチョコレートの時代から受け継がれたアメリカかぶれなのか、それもどこかしら漂う「戦後」の香り。岡ビル百貨店が出来た当時、この場所は時代の先端を行っていたのだろう。

帰り際の看板もまたまた泣かせてくれる。銀色のリボンだけが立体化された看板。行きも帰りも楽しい買物と憩のデパート、岡ビル百貨店。

現在「岡ビル百貨店」の老朽化に伴い東岡崎駅の新駅舎が建設工事中。既に一部完成しており、2016年には橋上駅舎となり岡ビル百貨店は解体される予定にある。つまりこの風景もあと数年で見納めという事になる。

一部新駅舎の建物が出来ていて既存の雑居ビルにかなり接近して建てられている。そのうち再開発の勢いでこのへんの雑居ビルも取り壊されるのかしらね。

駅前の線路沿いの路地を西に向けて歩いて行くと寂れた一角に申し訳程度に居酒屋などが連なっている。

居酒屋に隣接して立ちそびえる古びた店舗兼住居の廃屋。玄関周りは凄まじくゴミ溜めになっていてとても人が暮らしている雰囲気には見えない。右側にある開き戸の付近に洗濯物が干してあるがこれは一体…

さらにミステリアスなのが2階部分の窓の下に大量に鳥の糞なのか何だかよく分からないものが積み重なっている事。放置されてかなりの年月が経っているように見える。駅前一等地なのに…

この先の線路沿いの空き地となった所に以前はバラック酒場通りが形成されていて戦後のドサクサ臭を強く残していたのだがいつの間にか取り壊されて更地になっていた。

このうえ岡ビル百貨店まで解体されたら、駅前風景としてはかなり寂しくなりそうである。帰り際、真っ赤な名鉄電車をバックに再度3階建ての駅ビルを眺める。これが見納めにならないといいが…


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