鹿児島県内では天文館に次ぐ規模らしい、奄美大島・名瀬の歓楽街「屋仁川通り」を歩く

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鹿児島県本土と沖縄との間に浮かぶ奄美諸島…その中で最大の島である「奄美大島」…ここは長い歴史の中で薩摩藩と琉球王国の間に挟まれて独特な文化を育ててきた島だ。かつては鹿児島本土に差別され、戦後は沖縄にも差別され…というような土地で、佐野眞一氏の本なんか読んでいるとなかなかハードボイルドな話題に尽きない島で、いつか訪れたいと思っていた島だった。

奄美市 屋仁川通り

2013年の春、そんな奄美大島に二泊三日の予定で訪問する事が叶った。鹿児島新港から船で片道11時間、一晩掛けてようやく辿り着ける奄美大島の玄関口、名瀬港からも程近い場所に、奄美市(旧名瀬市)の中心繁華街である「屋仁川通り」の入口が現れる。

奄美市 屋仁川通り

屋仁川通りは名瀬市街地の西側にあり、名瀬入舟町、名瀬金久町、名瀬柳町の三町、約400メートルに渡って連なる、奄美大島最大の飲食店街である。大小200店舗以上ものスナックや居酒屋がこの一画に密集し、県庁所在地鹿児島市の天文館に次ぐ規模の大飲食街となっている。

奄美市 屋仁川通り

屋仁川通りの入口にはドピンク一色の派手なアーチ看板が掲げられており表裏にそれぞれ「屋仁川通り」「やんご通り」と2つの表記がなされている。「やんご」とは「屋仁川」の現地読みで、元々この地域に流れていた川の名前らしいのだが、明治時代からこの「やんご」の名称は奄美大島内の遊里の名前に使われており、島南部の瀬戸内町古仁屋にあった遊里もまた「やんご」と呼ばれていた。

奄美市 奄美大島

このドピンク看板もそこに記されている通り「やんご生誕100年記念」で設置されたものらしい。本来「やんご」の意味は遊郭という括りで結構リアルな意味を含めていたようだが、この名称が昔から続くれっきとした愛称なのだから「やんご通り」と堂々と掲げられるに至った訳だ。

奄美市 屋仁川通り

で、この屋仁川通り、奄美大島に遊びに来た観光客もみんなこぞって呑みに来るような場所なので、観光客向けな奄美の郷土料理居酒屋みたいなのもあれば、本来の「やんご」のダークサイドな要素を残したような、古い看板建築風味のかなり入りづらい佇まいのスナックまで、かなり勢揃いしている。奄美大島の人口が7万人ちょいというのだが、その人口規模と比べても明らかに飲食店街の規模がでかい。

奄美市 奄美大島

うーん、特にこういった佇まいのお店を目にすると、沖縄本島で沢山見かけた「社交街」にも近い昭和的貧しさの延長線上の成り行きを見ているようで切ない気分になりますね。勝手な想像ですが尼崎の杭瀬やら大正区あたりに出稼ぎに来て住み着いている人の中にも、元を辿ればここいらで働いていた事があった人も居たんでしょうな。

奄美市 屋仁川通り

種子島のように農業が盛んという訳でもなく、屋久島のように観光資源が豊富な島という訳でもない。特に奄美大島は島全体は起伏が激しい山がちな土地で、島民の稼業が限られる中で、鹿児島県内でも離婚率や生活保護率が特に高い地域になっている。結果儲けの良い稼業と言えば水商売…になるわけか。

奄美市 奄美大島

なお、仕事のない奄美の男は山に行って「ハブ捕り名人」を目指すのだ。ハブ天国である奄美大島ではハブを一匹捕獲して生きたままの状態で市役所に持っていくと、毒蛇被害対策の補助金として昔は一匹5~6千円もらっていた。これで食い扶持を稼げる寸法だ。もっとも現在は自治体の財政圧迫で一匹3千円まで値下がりしたという。
一説にはハブ取り名人が自ら食い扶持を繋ぐ為にハブを養殖して山に放してそれをまた捕って…という事をしているあこぎな奴がいるとも聞いた事もあるが、おや、誰か来たようだ…まあとにかく暮らすのが大変そうな島で、羽目を外せる屋仁川通りのような場所が非常に大事な訳だ。

奄美市 屋仁川通り

そんな屋仁川通り、やはり本領発揮は夜になってからで、昼間静まり返っていたはずの通りに並ぶスナックの数々も煌々とネオンを灯し、遊客を誘う。当然ながら、昭和33(1958)年の売防法施行時までは遊郭として開けていた町なので、そういった商売をしていた「料理屋」も沢山あったそうですよ。

奄美市 奄美大島

昼間目にした看板建築風味の建物にある数軒のスナック…特に怪しいオーラを帯びている。まあだいたいこの手のネタでググると出てくるページが決まって九州底辺層ご愛用掲示板「爆サイ.com」だったりするので、これ以上オチの付けようがありません。

奄美市 屋仁川通り

名瀬港に近い側は各ビジネスホテルも多く立ち並んでいるので、特に観光客向けの居酒屋が多い。かなり賑やかである。さすが県内では天文館の次に大きな盛り場なだけの事はあるな。

奄美市 屋仁川通り

そしてこの渋すぎるネオン看板、クオリティ高いっすね…どういう使い方をすればこんな色合いが出るのだろう…スナック「コスモス」、綴りは「Cosumosu」…みすず学苑もビックリな怒涛の英語力ですね。

奄美市 奄美大島

さらにオツ過ぎるセンスの看板が個性的なスナック「欧酒麗気」(おしゃれぎ)…漢字の当て字が夜露死苦みたいなノリで非常に良い。この通り、屋仁川通りにある飲食店は個性派揃いで旅情を誘うものばかり。素晴らしい。

奄美市 奄美大島

屋仁川通りの中で特に人気が高い郷土料理店「喜多八」は予約しないと入れない程混雑している。奄美大島の料理がコースで頂けるのだが、鹿児島でも沖縄でもない、その中間くらいですねと、そのまんまな言葉しか言えないが、やはりここは鹿児島県。沖縄みたいな泡盛じゃなくて黒糖焼酎で頂くのである。

奄美市 屋仁川通り

奄美大島に来る事になった場合は必ず立ち寄る事になるであろう「屋仁川通り」…掘り出せばまだまだ沢山出てきそうな街だが、二泊三日のスケジュールだととても回りきれそうにないので、これ以上は是非とも皆様の手で開拓してみてください。


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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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