愛知万博十年一昔…日本初の磁気浮上式鉄道が走る新交通システム「リニモ」はどうなっているのか

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唐突ですが皆様「愛・地球博」こと愛知万博の事は記憶にございますでしょうか。昭和45(1970)年の大阪万博以来の35年ぶりの国際博覧会として2005年3月25日から9月25日まで開催され、開幕当初は冷ややかなムードだったものが会期終盤に近づくと来場者数は目標を大幅に上回る熱狂ぶりを見せて大団円のうちに幕を閉じた。開催地だった愛知県とそれ以外の地方とでは認知度の違いや温度差がかなりある気がしなくもないが、そんな「祭りの後」を知る者はどれほどいるのだろうか…

愛知県 名古屋市 リニモ

という訳で、我々取材班が足を運んだのは名古屋市営地下鉄東山線の終着駅で、名古屋市の東の外れにある街「藤が丘」だ。愛知万博の会場輸送手段として鳴り物入りで整備された日本初の磁気浮上式鉄道「リニモ」(愛知高速交通)の始発駅がここ藤が丘に作られ、当時の長久手町にあった万博メイン会場と愛知環状鉄道八草駅(当時は万博八草駅)とを結ぶ「東部丘陵線」として万博が閉幕した後も今日に至るまで営業している。

愛知県 名古屋市 リニモ

そんなリニモの藤が丘駅、せっかくの休日というのにだだっ広い改札フロアには他の客の姿が殆どありません。元から愛知万博の「動くパビリオン」としての立ち位置で、肝心の万博終了後の運営をどうするかまではあまり考えて無かったのだろうか、総事業費1000億円超という莫大な初期投資で生じた減価償却費の支払いが重石になって2005年の開業から絶賛赤字運営続行中で、案の定アレな状態となっていた。

愛知県 名古屋市 リニモ

日本初の磁気浮上式鉄道が通るのは、名古屋市東端のここ藤が丘から、現在市政移行で長久手市になった旧愛知郡長久手町、それと豊田市の外れの八草までの8.9キロの営業区間。藤が丘から八草まで通しで乗ると大人片道370円で所要時間は17分。普段の交通の足として使うのは沿線の大学に通う学生か、長久手市民くらいか。じわじわと乗降客数は増加傾向にあるらしいが、それでも完全な黒字化は難しそうな状況にある。

愛知県 名古屋市 リニモ

そもそも自動車王国愛知県で高い運賃を払ってリニモに乗る酔狂な客もあまり居ないだろう。学生も長久手市民も恐らく車での移動がデフォ。それなら萌えキャラ推しでヲタを呼び込めとばかりにリニモの新キャラクター「リニモたん」と「鉄道むすめ」の八草みずきがお出迎え。最近どこもかしこも似たような事ばっかりやってんな…

愛知県 名古屋市 リニモ

とりあえず券売機で切符を買って自動改札機を潜りホームへ。この改札機も今時ICカード非対応でかなりイケてないのだが、やはり誰もいないホームやエスカレーターなんかを見てるとそこかしこに過剰投資ぶりが目立つ。

愛知県 名古屋市 リニモ

現在もリニモは藤が丘-八草間を日中10分間隔で運転している。休日なので車内の乗客は10人そこそこと、まあこれでも多い方なのかも知れない。愛・地球博記念公園へ向かう行楽客か、芸大通駅で降りてトヨタ博物館に行く客か、杁ケ池公園駅で降りてアピタ長久手店に行く客ならば車が無くともそこそこ使い勝手は良さそうだが…

愛知県 長久手市 リニモ

そうこうしているうちにリニモが出発。藤が丘駅の地下ホームから次のはなみずき通駅を出るまでの区間は地下から高架までの急勾配と急カーブを一気に登り進めて行く。この線形は磁気浮上式鉄道にしか出来ない芸当で、この区間はさすがにスピードも出せないが、杁ケ池公園駅を過ぎるとあとはほぼ直線なので、そこから物凄くスピードが出る。揺れが殆ど無かったり車輪の音もしなかったり、まあ凄い新交通システムですねと思うが、明らかな過剰投資なのには違いはない。

愛知県 長久手市 リニモ

で、あっという間に愛・地球博記念公園駅に到着。ここが2005年愛知万博のメイン会場だった長久手会場の最寄り駅で、当時は「万博会場駅」だった。愛知県立大学前と括弧書きされている通り、同大学への最寄り駅にもなっているみたいですよ。

愛知県 長久手市 リニモ

んで、まあなんとなく途中下車してみたりして、愛・地球博記念公園とやらにも立ち寄ろうかと思ったが、時間の余裕も無さそうなのでやめた。当取材班も何度かこの愛知万博には訪れた事もある。その時の記憶はだいぶ薄れてしまい、もはやマスコットキャラのモリゾーとキッコロくらいしか覚えていない。

愛知県 長久手市 リニモ

しかしこの駅にまでアニメイラストポスターがわんさか貼り付けられまくっていていささか食傷気味。「萌えろ就職活動」とか言われましても…

愛知県 長久手市 リニモ

どうも愛知県が率先して「愛知ぽぷかる聖地化計画」なるものを実施しているらしくアニメ絵がびっしりでヲタに媚びまくりなのも行政を挙げての大号令となっているそうな。まあそれにしても凄いこと。

愛知県 長久手市 リニモ

アニメキャラ以外でもリニモではオリジナルグッズも種類豊富で、リニモチョロQ(1000円)をお買い上げの方には鉄道むすめ「八草みずき」または「知多娘。」のラッピングシールがもれなく付いてくるそうで、これはヲタの皆様見逃せませんよ…って、知らんがな…

愛知県 長久手市 リニモ

で、肝心の車内は愛・地球博記念公園を過ぎたところで完全に無人車両になってしまいました。日本初の磁気浮上式鉄道、これが21世紀の愛知県を担う公共交通機関です。空気を載せて走ってます。開業10年目のリニモで楽しめる「エアリニモ」な光景です。

愛知県 長久手市 リニモ

万博会場だった愛・地球博記念公園、別名モリコロパークを横目に終点八草まで進む。10年近く経つと本当にもう何がなんだか分からなくなりますね。かつてこの場所に世界各国や日本企業の諸々のパビリオンや観覧車やら、瀬戸会場との間を結ぶ空中ゴンドラまでが目白押しに集まっていたというのも、今や幻。

愛知県 豊田市 リニモ

ちなみにこのリニモが走行する区間、東側半分は完全に市街化調整区域で森の中に入ってしまう。大阪万博の北大阪急行(千里ニュータウン)みたいに沿線開発が出来ず、リニモの乗客増加に繋がる一手が打ちづらい事も理由にある。現在もせいぜい大学の学生かヲタ観光客が頼みの綱だ。

愛知県 豊田市 リニモ

終点の八草駅を降りると、駅前はとりあえず何もないので、愛知環状鉄道に乗り換えて高蔵寺・瀬戸方面か豊田・岡崎方面に出る事になる。ここも駅名に愛知工業大学前と括弧書きされていて同大学の学生の利用があるらしい。万博期間中は「万博八草駅」で、これを外国人は「万博ヤクザ」と聞き間違えていたという話も今や昔。

愛知県 豊田市 リニモ

どうでもいいがリニモの車両にまで変なご当地アイドルっぽい娘の写真がラッピングされておるではないか。知多半島の活性化と若者の就業支援を目的に誕生したご当地キャラユニットだとかなんとか…この娘らは声優らしいですよ。やっぱりどん詰まりの知多半島じゃ目立たないのでここまで出張して広告出してるんですかね。

愛知県 豊田市 リニモ

そんな「知多娘。」ラッピングカーと化したリニモの車両が折り返して藤が丘方面に帰っていきました。あれやこれやとヲタおこしでテコ入れを図る愛知高速交通東部丘陵線、黒字化の目処が立つのはいつの頃だかさっぱり分かりません…

愛知県と言えば過去に第三セクター経営の新交通システムを破綻させた苦い歴史がある。2006年10月まで小牧駅と桃花台ニュータウンの間を走っていた「桃花台新交通・ピーチライナー」の二の舞いにならんだろうかと、出来た当初から思ってたんですがね…


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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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